間違い
「クッソ、血が止まらねぇ……。」
轟くんが苗字さんの傷口に脱いだ服を押し当てるが、一向に止まる気配の無い血。
「ま、まずい……かっちゃんも常闇くんも連れ去られたのに、苗字さんはこの状態で……。」
どちらも放っておけない、なんなら苗字さんだって狙われてるんだ。こんなとこに置いておけない。
「……とりあえずあいつを追おう。麗日、こいつを頼む。」
轟くんは背負っていたB組の人を麗日さんに渡し、苗字さんを抱き上げた。
「あまり衝撃は加えたくないし、長期戦は無理だ。苗字が危ねぇ。とにかく急ぐぞ。」
轟くんの言葉に皆で頷き、僕達は逃げたヴィランを追いかけた。
しかし、今思えばこの判断が間違っていたんだ。
◇
なんて逃げ足の速いヴィランだ、氷結を使って追い込んでもあっさりすり抜けて逃げる。
「……?おやおや、もしやあなたが抱き上げてるのは捕獲対象じゃないですか。」
「……だったらどうした。」
「わざわざ運んできてくれてありがとうございます、頂きますね。」
「……んな事させる訳ねぇだろ!!」
再び氷壁で奴を追い込むが、
「すいません、任務は達成しなければなりませんので。」
「っ轟くん!!」
緑谷の声に振り返ればそこにはヴィランがすぐそこにいて、
腕の中の重みが、消える。
「では、さようなら!」
「クソ!!追うよ!!…………轟くん!!!」
なん、で。ついさっきまで俺が抱えてたのに気づけばもう苗字はいなくて、あいつの手の中。
「っ轟くん!!」
緑谷の声にハッとする。
「今のは仕方ない!!僕も、……直前まで気づけなかった。だから、取り返さないと!!」
「……っあぁ!!」
すぐ助ける、すぐ助けるからな苗字。
自分の不甲斐なさに、唇を噛み締めながら俺たちは奴らを追った。