おはよう
うっすら目に入った光に、重すぎる瞼を開く。
霞む視界を何度か瞬きを繰り返し、世界がクリアに見えたところで
「………………びょ、病院?」
白いカーテンが揺れる中、夏の太陽がこちらに日差しを向けていた。
よいしょ、とおばさん臭い掛け声と共に体を起こすと、真っ白な部屋、真っ白なベッド。やはり病院だよな。
眠る前の記憶をなんとか遡る、すると思い出したのはヴィランに連れ去られたこと、オールマイトが助けに来てくれたこと、そして眠る原因となった肩を突き刺したあの女性の事。
あんの金髪…………深くナイフを抉りやがって…………!!
途中途中出血が酷すぎて、記憶が飛んでいた。その重症だった肩は今となっては傷も塞がりかけていて、それほどの時間が経っているのだと確信し、とにかくナースコールを押そうと探していると、
「…………苗字……?」
「あ、轟くん!」
なんと言うタイミング。ガラガラ音を立てて扉を開けたのは轟くんで、え?なんで来てるの?とか一瞬思ったが今どういう状況であれからどうなったのか聞きたかったので、丁度良かった。
「丁度良かった、轟くん。私寝てからのきおくが」
なくて、という前に轟くんの腕の中に閉じ込められた。
「…………え!!?」
「良かった…………苗字、目覚めたんだな…………。」
ぎゅうう。と抱き締められて、酷く混乱するがもしかしてそれ程に時間が経っていたのでは、酷く心配かけるほど眠っていたのでは。と気付かされ何も言えなかった。
………………………………とは言え、轟くんイケメンだし、なんかすっごいいい匂いして気が狂いそうだけども!!
「ととと、轟くん。」
「……なんだ。」
「もうすっごい元気だから、大丈夫だよ!は、離してもらっても?」
「……………………嫌だ。」
いやだ!?
「さ、さいですか……。」
至近距離で見つめてしまったイケメンの破壊力に打ちのめされ、私は轟くんの心行くまで抱き締められ続けた。
◇
「え!?寮生活!?」
「そうだ。」
目が覚めたことを知らせると、相澤先生がすぐにやって来て無事で良かったと安堵の息をつかれた。
そして私が眠っている間に起こったことを聞き、オールマイトの引退も酷く驚いたが、それより
「今皆で一緒に生活してるんですか!?」
「そうだ。」
「す、すっごい楽しそう…………!!」
いいなぁ、いいなぁ!!とテンションが上がる。
施設を出てからというものの、一人暮らしをしていたので学校から帰ると寂しい生活をしていたのだ。
それが!!皆と一緒に!!
「お前も退院したらそこに入る。早く入りたかったら早く元気になれ。」
「はい!」
「あと……。」
チラリ、先生の隣に座る轟くんを一瞥し、こちらに顔を近づけてくる先生。
こそ、と耳元で先生は
「……轟は毎日お前の見舞いに来てた。ちゃんと礼を言っとけよ。」
「……………………え、」
「じゃあな。轟、お前も暗くなる前には寮戻っとけよ。」
「はい。」
先生は帰ってしまい、轟くんと再び2人きり。
先生の言葉に胸が熱くなる、……毎日来てくれてたの?
目の前に座る涼しい顔したイケメンに、感謝と嬉しさとそしてときめきが溢れそうになった。
「……?どうした。」
「な、何が?」
「なんか、不細工だぞ。」
「!?」
堪える顔がいけなかったのか、イケメンに正面から不細工と言われてしまった。つ、つら……そりゃ轟くんに比べたらね……。
「っふふ、なんか変な事でも考えてたのか?」
ベッドの隣に置いてある棚に肘を着いて、こちらをにやにや笑いながら見てくる轟くん。その格好でさえ、何してる訳でもないのにかっこいいなんてほんとイケメンずるい。
「…………なんでもない!!」
先生に言われた通りお礼を言おうと思ったが、また不細工な顔をしてしまいそうだったので辞めた。
いつか、いつか必ず伝えるから。だからそれまでは拗ねんなよ、って笑ってて。