仮免試験

「必殺技…………………………。」


目の前に佇むエクトプラズム先生を眺めつつ考える。


絶対氷結は必殺技と言えばそうなんだけど、使ってしまえばヒーロー人生が終わってしまうので使えない。


その他で…………難しいなぁ。


とにかく私は様々な造形を繰り返しつつ、先生へと攻撃した。





「プルス、ウルトラああああ!!!」

……………………?


「イナサ、勝手に他所様の円陣に加わるのは良くないと思うぞ。」


「それは!!大変!!失礼致しましたあああ!!!」


……………………???


「と、轟くん、あの人見たことない?」


「……いや、ねぇけど。」


あれ!?


私だけ!?


「会ったことあんのか。」


「あるって言うか、たぶん推薦入試で……。」


「…………?お?おぉ!?」


首を捻りながら記憶を辿っていると、目が合いこちらへ歩いてくるイナサ、と呼ばれた男の子。


「あんた、雄英の推薦入試にいましたよね!?」


「あ、は、はい!!や、やっぱり……。」


「ん?やっぱり?」


「あ、あなたも推薦入試いましたよね?」


それで私の記憶が正しければ実技試験、轟くんを抜いて1位だった気がする。気がするだけだけど……私は2人の実力には遠く及ばず、2人の決着が着く瞬間を見ていないから……。


「はい!!俺、雄英大好きっす!!あんたすげぇ緊張してぷるぷる震えてましたよね!?」


「え!?な、何故それを、」


あの日会話したのは轟くんだけなんだけど、なんで知ってるんだ。


「遠目に全員見てました!どんな奴が推薦入試に来てるのか気になって!!」


「そ、そうですか、」


それならきっと轟くんの事も知ってるだろう。


「あの、轟くんの事はおぼえてま」


「それじゃあ、雄英の皆さん!!失礼します!!」


「あっ。」


聞きそびれてしまった……轟くんは覚えてないようだけど、彼の方はどうなのか聞こうと思ったのに。


「…………推薦入試にいたのか?」


「うん、なんなら轟くんと上位争いをしてたように見えたけど……。」


「…………覚えてねぇ。」


轟くんは嫌なことがあると忘れてしまうタチなのかな?もしかして私に話しかけられたのも嫌なこと枠だったかな!?





仮免の1次試験の会場に着き、とりあえず吐きそうになる。


「うわぁ!?苗字さん、真っ青じゃないか!!」


「…………きき、緊張して、は、吐きそう。」


「え!!?そんなに!?」


「っふふ、また緊張してんのか。」


「だって仮免試験だよ……?落ちたら、もし自分だけ落ちたらとか思うと……うっ。」


「考えすぎだろ。」


「そうだよ!苗字さん冷静だし、強いし自信持って!!」


いやそんなん、本当に凄い緑谷くんと轟くんに言われても!!


「あ、ありがとう……。」


配布されたボールを握り締め、深呼吸を繰り返す。2人仕留めないと不合格……。


「皆!!固まって行動しよう!!」


緑谷くんの声に爆豪くんたち、そして轟くんも抜け出してしまった。


どうなんだろう、ここで固まっていた方がいいのだろうか。それとも……。


「……ごめん、緑谷くん。私も抜けるね。」


「えっ!?」


キリキリと痛む胃を抑えながら走り抜ける。


「私も広範囲攻撃してしまうかもしれないから、離れて1人で戦うよ!」


「だ、大丈夫!?変わらず顔真っ青だけど!!」


「に、2次試験で、あ、ああ、会おうぜ!!!」


ほんとに、私大丈夫かよ。と思いながらも緑谷くんに親指を立てて、私はみんなから離れた。


そんな私を見た緑谷くんの表情は忘れられない気がする、私に負けず劣らず真っ青だったんじゃないかな!?

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