一次試験
雄英潰し、そんな事が当たり前のようにあるのか。
私が離れてきた、皆が集まっているであろう場所に、他校の生徒が集まっていく。
体育祭はプロに見てもらえるチャンスが生まれるが、逆に言ってしまえばこう言った場面で不利にもなるのか。
と、目前に迫る敵に思い知らされた。
「あんたの個性は氷の造形。なら、火には弱いはずだよな!?」
そう言って咆哮のような声と共に業火を吹いてきた敵から距離をとる。
個性が知られてるって、そもそもスタート地点が違うじゃないか。ずるい、ずるすぎる!!
とは言えあの頃の私とはもう違うのだ。
体育祭で、いつの間にか騎馬戦で敗退した私では無いのだ!!!
「アイスメイク!」
敵の攻撃を避けながら、造形に集中して生み出す。
「Graaaaaaaaaa!!!!!」
生み出した百獣の王に業火へと吹雪を吹かせる。
熱に弱い、炎に弱い。それは自然の摂理だ。
それでも私は、そんな自然の摂理をものともしない理不尽な先生の訓練を経て、業火と共に訓練したのだ。
「…………あなたの炎では、溶かせない。」
なんたって、私と共に訓練したのはヘルフレイムの後継者。
当たり前のように隣で訓練してきた轟くんが、並のヒーロー候補生では無いとはわかってた。
それでもこのように外の世界に触れるとよくわかる。
「とけ、ねぇっ……!?」
吹雪は業火を押し返し、相手諸共凍らせた。
ふぅ。と安堵し、改めて轟くんに感謝した。レベルの高い彼と共に訓練して来てて良かった、やっぱり凄いんだなぁ轟くん。
私は対峙した相手と、巻き込まれて凍ってしまった他校生にボールを当てて、1次試験を通過した。
◇
「……苗字!」
ん、どこからか轟くんの声が、
「……あ!轟くん!!」
「1次突破したんだな。良かった。」
「うん!轟くんのお陰でね。」
「?何がだ。」
「轟くんのようなお強い人と日々訓練して、並の温度の炎では私の造形溶かせなかった!!」
「そ、うなのか……。」
「うん!だから、本当にありがとう。感謝してます。」
そう言って突破出来た嬉しさと、彼に対する感謝から笑うと轟くんもふんわり優しく微笑んだ。
う、わ、ぁ。い、いけめん…………!!
「そそ、そういえば他のみんなは!?」
急激に熱くなった顔を仰ぎながら聞けば、まだ轟くんだけらしく、1人でしばらく待っていたとの事。
「そ、そうなんだ……皆苦戦してるのかな……。」
「さぁ…………でも俺もお前も、周りに人がいると巻き込む可能性が高いから別れて正解だったと思う。」
「確かに……足を引っ張るよりは遥かにマシだね……。」
「なんでそうお前はすぐネガティブになるんだ。」
そう言っておかしそうに笑った轟くん、轟くんはむしろ自信ありすぎなのでは。いや、自信に見合う実力だから良いんですけども。
「私は胸を張れるような実力者じゃないからな……咄嗟の判断も、反射速度も皆よりずっと遅いし、」
「んな事ねぇだろ。」
「お、おお世辞は結構です!!」
「お世辞じゃねぇよ、お前の洗練された動きは正直苦手だ。」
「えっ!!」
「すぐに懐に入ってくるし、近接に持ってかれたらかなり不利になると思う。」
「そ、そうなんですか……。」
「なんで敬語なんだよ。」
またも笑った轟くん。今日笑いすぎじゃない?かっこよすぎるよ、ちょっとサービス多すぎて私はキャパオーバーだ。
「早く皆来るといいな。」
「そそ、そうだね……。」
その言葉に、ほんの少しだけ、嫌だな。なんて思ってしまって更に恥ずかしくなった。
もっと2人でいたいだなんて、口が裂けても言えないよ。