二次試験
「減点じゃあ!!減点!!!」
「ひいいい!!すいません!!!」
「まずは怪我の状態!!そこからだ!!!」
「すいません!!!!」
被害者にアホほど怒られながら、なんとか救助演習をこなす。
2次試験は救助訓練で、つい先程ヴィラン役まで現れた。
しかも相手はギャングオルカ。見た目は立派なヴィランだが、実は人気ヒーローの個性シャチを使いこなすヒーローだ。
こんだけ怒られて、救助も上手く出来てないのにヴィランは皆に任せっきりで、私落ちたのでは?もう落ちたの確定したのでは!?
造形で動物達や、地面に橋をかけたりしながら青ざめた。や、やばい。私ちゃんと役に立ってるかな。
なんて思っていると上がった炎。あの炎は……轟くんがギャングオルカの元に行ったのか。
そして舞う風。風だと、夜嵐くんも来てるのかな。それならヴィランの方は任せても大丈夫そうだ!!
私はある程度担当していた地区の救助が済んだので、怒られながらも被害者の手を引き、避難所へと誘導した。
◇
任せても大丈夫。そう思っていたのに、いざ来てみれば状況は最悪で。
轟くんと夜嵐くんの個性の相性が最悪らしく、轟くんの炎と夜嵐くんの風が喧嘩して、ろくにダメージを与えられていない。
「…………っ緑谷くん、あの二人、」
「うん…………上手く、行ってない。」
ギャングオルカのサイドキック達を捌きながら、彼らを見る。
するとまたも喧嘩した炎と風。
その火の手はこちらへと向かってきて、
まずい。そう思った時には体が動いていた。
考えるより先に、体が動いていた。
緑谷くんが火の手から人を救い出したのを確認し、手のひらに拳を強く打ち付ける。
生み出した巨大な盾で炎を食い止めた。
しかしその炎は轟くんの炎。炎が収まると同時に盾もまた粉々に砕け散った。
「…………何を、してんだよ!!!」
緑谷くんの叫びに、2人の瞳の色が変わった。
しかしギャングオルカは止まらない。目の前にいた轟くんを掴みあげ、
「っ!!……苗字、か。」
ダガーで切りつけるも、大したダメージは与えられず思わず舌打ちをしてしまう。
ならば轟くんだけでも、と彼を掴みあげている腕に乗り凍らせるが、
「そんなんじゃあ止まらねぇよ!」
目の前に迫るギャングオルカの頭部から超音波を発され、全身がガクガクと震えて地に落ちる。
轟くんも同じで、彼もまた気絶しかけて地に落ちた。
だ、ダメだ、まだ救助が終わってないのに、ギャングオルカを、と、と、とめ、
霞む視界で氷を生み出すも、ろくなものが出来ずすぐに溶けて地を濡らした。
くそ、くそ……!!と奥歯を噛み締めていると腰に巻きついた腕。
なに、と思って隣を見るとこちらに震えながら顔を向けている轟くん。
「さ、き…………わる……った……。」
「いま、……それどころじゃ、……」
そう言えばわかっていると言わんばかりに頷く轟くん。すると巻きついた腕を引き寄せ、私は轟くんの右半身にくっつけられた。
「すこし…………がまん、してくれ……。」
そういうや否や轟くんの左半身から吹き出た炎。
……私が、炎苦手だから…………。
若干ひんやりとしている轟くんの右半身。そのお陰で熱すぎるぐらいだし、髪の毛とかちょっと燃えてそうだったけれどなんとか堪えられる。
そしてその炎を夜嵐くんの風でコントロールし、ギャングオルカを閉じ込めた。
あっづ、あっつい…………!!!ジリジリと焼け付くような熱さに身をよじるが、ぐっ。と体に巻きついている轟くんの腕が私を更に右半身へと引き寄せた。
しかしその攻撃もギャングオルカに吹き飛ばされ、絶望するがその刹那現れた緑谷くんによって、ギャングオルカは攻撃を受け、
救助が全て終わったこともあり、2次試験は終了した。
「…………と、轟くん。」
痺れも取れてきて、まだ少し覚束無いがなんとか体を動かして轟くんの身を起こさせる。
「……苗字、……うっ。」
「大丈夫?個性使いすぎたよね、それにあの超音波…………まだ少しぐらついてる。」
試験前とは別の意味で吐きそうだ、轟くんも同じなようで、ぐらり。向かい合って座り込んでいた私の肩に頭を預けてきた。
「……すまねぇ、もう少し、…………このままで。」
「うん、立てるようになったら医務室に行こう。」
ぽんぽんと背中を撫で付け、落ち着かせる。なんとも先程の戦いは轟くんらしくなかった。……夜嵐くんと何かあったのかな。
ぜぇぜぇ、息を荒くさせながら私の肩に身を預ける轟くんと、忙しない周囲の物音を聞きながら私は、もしかして落ちたのでは……?役に立ってた……?と不安に駆られた。