君が良い

無事仮免を取得出来、安堵したのもつかの間。私たちに休息している暇なんて無いのだ。


緑谷くんと爆豪くんは喧嘩した罰で謹慎を受けている間に、インターンの説明を受け、ビッグ3との対面。


しかしながらインターンは反対派の声も多くあり、未だ出来るかどうか不透明な状態であった。


そんな中でも私達は変わらず今日もヒーロー基礎学として訓練を行うのだが、


「今日のヒーロー基礎学は、2人1組でチームを組み、チーム対抗戦とする。」


相澤先生の言葉に、ちょっとだけわくわくする。チーム戦はよくあるし、皆の個性もだいぶわかっているため、多少なりとも活躍できそうだ。


今回はまたチームを先生に決められているのだろうか。それともくじ引き?


「しかし今回は、チームをお前ら自分達で決めろ。」


「「「え!?」」」


そ、そんなの……


「そんなの、強いヤツと組んだ方が良いに決まってんじゃねぇか!!」


峯田くんの声に頷いてしまう、戦闘向きでは無い個性もあるんだ。中々実力が傾いてしまう。


「それはそうだ、だがヒーローとして活動する上でかなり重要な戦闘力。どんな個性であってもある程度は戦えねぇと意味が無い。しかし今までは実力が極力均等になるようこちらで采配していたが今回は、敢えて実力差が出るようにこちらでは組んでない。」


な、なんと…………。


でも先生の言う通りだ、役割に徹することも重要だが、仲間を頼れない時自分はどう動くべきか考えなくてはならない。


1人でも、戦わないといけない。民間人を守るためなら身を呈すのがヒーローだ。


「最終的に1人余るが、その場合は適当にこちらで組ませてもらう。誰か2回やってもらうことになるが、まぁ仕方ない。……んじゃ話し合ってペア決めろ、話し合い始め。」


え、ちょ、なんて思ってる間に皆席を立って声をかけ始める。


う、うおお、やっぱり人気なのは緑谷くん、轟くん辺りか……そりゃそうだよな……爆豪くんは強いけど連携取れないもんね……。


「苗字!!」


「は、はい!!」


「なんで敬語!?俺と組んでくれねぇ!?」


「あー……ごめん、誘いたい人いるから1回誘ってきてみてもいい?」


上鳴くんにごめん、と手を合わせて頭を下げる。


「まじか!……いや、大丈夫。もしペア組めなかったら俺と組んでくれよ!!」


「うん、わかっ」


「ちょっと待って!!苗字、私と組んでくれない!?」


「うぉ、じ、耳郎さん!」


「頼むよ!!接近戦苦手だし、苗字いると心強い!!」


「う、おっ…………」


な、なんて……す、凄く…………頼られてる……!!!


「おい!!俺が先に誘ったんだけど!?」


「うるさい!!頼むよ、苗字!!」


「苗字さん!!私もお願いしたいですわ、」


「八百万さんまで!?」


「はい、接近戦も遠距離戦も出来る苗字さんとなら、時間に追われる事無く確実に勝てる作戦が思いつくと思いますの!!」


「わわ、……き、キラキラしてますね…………!」


目をキラキラと輝かせてくる八百万さんは普通に可愛い、私より背は高くて見上げてしまうけれど、すっごい可愛い。


「み、皆さんありがとう。でも私とりあえず誘ってみたい人がいて、」


それが駄目だったら……誰かにお願いするかも、と言えば3人ともとりあえず引き下がってくれたので、


「ありがとう!!それじゃあ声掛けてきま」


「苗字。」


聞こえた声にぱちくり目を瞬かせ、ギギギ……とでも鳴りそうな動きで振り返ると、そこには


「……俺と、組んでくれねぇか。」


なんでだよおおおお!!!なんでだよおおお!!!と泣きながら足に引っ付いてる峯田くんと、お願いだよおお!!轟いい!!と腕に引っ付いてる芦戸さんと恐らく葉隠さんを連れて来た轟くんがいた。


「轟くん…………凄い状態だね……?」


「あぁ、断っても諦めてくれねぇ。俺はお前と組みたい。……もう組んだ後か?」


彼もまた私の周辺を覗き見て、少しだけしゅん、と声のトーンを下げた。


「あ、いや!!…………えと、私も轟くんと組みたいなぁと思ってて。でも人気だから無理だろうと思ってたんだけど……。」


物凄くラッキーじゃないか!!何がどうして彼が私と組もうと思ってくれたのかわからないが、とにかく有難い。彼の個性はかなり見てきてよくわかっているし、遠距離戦もまるごとおまかせ出来る。


「!そうか、じゃあ俺と組もう。」


「えっと、じゃあ…………ごめんね、上鳴くん、耳郎さん、八百万さん。」


頼ってくれたのに、ごめんなさい。と深々頭を下げると皆残念そうな声を上げながら、散っていった。


轟くん側もそうだったが、


「はぁ!?轟と苗字なんてずる過ぎんだろ!!戦闘力偏り過ぎだろおお!!?」


峯田くんの言葉に、うっ。と声を漏らしてしまった。確かに。


自分の、と言うか個性は戦闘向きな自覚がある。確かに戦い向きという意味では偏ってしまったな。


「それで良い、こうやって実力が偏った場合においてお前らがどう対処するのか、また実力者同士がどのように連携を取るのか。これがこの授業の課題だ。」


いつの間に起きていたのか、相澤先生が全員を見渡すようにして言った。


「…………よし、大体組めたな。じゃあコスチュームに着替えてグラウンドに集合。」

top ORlist