はじまりはじまり
文化祭は緑谷くんのアクシデントもありつつも、なんとか無事終えられた。
緑谷くん達が気にしていた、エリちゃんと言う女の子の笑顔も遠目にだが見ることが出来て、こちらの胸までほんわか暖かくなった。
そんなこんなで日々は過ぎ、秋も深まり寒くなり
「うっ…………さ、寒っ。」
「寒そうだな。……コスチュームの変更しなかったのか?」
「まだ行けると思ってたんだけど……。」
秋を舐めていたようだ、意外と寒い私のコスチュームは既にこの季節には耐えられない。新調しておくべきだった。
今日は学校の外の森で実技演習。話に聞くと、緑谷くんはここで謎の動画投稿者と文化祭前に殴りあってたらしい。どういうこっちゃ。
「今日はここで戦闘訓練を行う。4人1組で5回。最後の組だけ5人で行うからな。」
相澤先生の言葉にはい!と返事をし、自分の組はどこかな、と探す。
「あれ、先生!今日は他の先生いないんすか?」
「あぁ、今日は2年と3年の方で人手が必要でな。校内にも教員が少なくなってる。」
「へぇ、そんな日もあるんすねぇ!」
「まぁ正直ヴィランに襲撃を繰り返しされているのに、手薄にするのは気が引けたが、本来のカリキュラムだってこなしていかないとヒーローとしての成長が遅れるからな。仕方の無い事だ。…………だからこそ、お前ら問題起こすなよ。」
「「「はーい!」」」
先生達少ないのか……相澤先生の言う通り、今この時期に手薄になるのはどうなんだ、と思ったけれど私たちのせいで2、3年生まで巻き込む訳にもいかないから仕方がない。
それじゃあ1組目、集まれ。その言葉に私は観覧側へと足を動かした。
◇
「あ、苗字さん。」
「あ、緑谷くん。」
「今回同じ組だったね……。」
「うん、この間の戦闘訓練も緑谷くんとだったし、何かと戦う機会があるね……。」
出来ればこの超パワーとは対峙したくないんだけどな……骨を何本か持っていかれそうで怖い。
「あと、轟くんも一緒だったね。」
「そうなの……味方として戦ったことしかないから、ちょっと不安。」
「あとは、蛙水さんだっけ?」
「そうそう、梅雨ちゃんも強いから嫌だなぁ、強い人ばっかりなところに入れられちゃって……。」
「いやいや、苗字さんだって充分実力者だよ!?いい加減自信持とうよ!?」
そう言ってくれる緑谷くんは優しい、なんか凄い形相で私がどう凄いのか、戦闘において私の戦い方とか、得意な技となんかすっごい、なんでそんな事まで知ってんのレベルで話してる。あれ?優しいか?これ。
「――――だから!!苗字さんは凄いんだよ!!」
「な、なるほど!?」
「っふふ、」
軽やかな笑い声に振り返ると、轟くん。
「何してんだお前らっ……ふふっ。」
「ええっと……」
「ぼ、僕が、苗字さんの凄さについて語ってた。」
「本人相手にか、それで苗字なるほどって……ふふっ。」
確かに第三者からしたらおかしな会話だ、ごめん緑谷くん。ちゃんと話聞いてなかった私が悪かった。
「次ー、2組目集まれ。」
「あ、呼ばれてる!」
「行こう!」
「あぁ。」