仕組まれて

「全員指定の位置に着いたな?それじゃあ2組目、始め。」


相澤先生の声に、周囲を見渡す。


他の3人がどこにいるのか全然わからない、森も深いし遠くが全くわからない。


いつもの如く渡された捕獲テープをコスチュームに縛り付け、耳を澄ます。


しかし、私は耳郎さんでは無いので索敵なんて出来ない。こうなったら自分で動き出さなければ、あとの3人がやりあって私だけ参加出来てませんでしたああ!!なんて減点対象だ、お、怒られる。


相澤先生の怒った顔、目を思い出して奮い立ち、私は森の中足を動かした。





パキ、


何度も聞き慣れた音に、体を翻させ木の上に着地する。


「…………さ、最悪だ。」


せめて攻撃力が高過ぎない梅雨ちゃんと当たりたかったのに。


「…………やるからには本気で行くぞ。」


「も、もも、勿論だよ。」


「どもってんぞ。」


「む、武者震いです!!」


そう言うと、ふっ。といつものように綺麗に笑った轟くん。戦闘の場面でそれはほんとにずるい、心臓へのダメージだもん。


しかし緩んだ空気も束の間、氷壁はあっという間に迫ってきて私の足を捉えようとする。


それを反射的に逃げ続け、背後に回りきった瞬間に


「っクソ!!」


轟くんが苦手だと言っていた、接近戦へと持ち込み、氷を割りながらも鳩尾や、顎を狙いながら鉤爪を突き出す。


「……ほんと、お前は、」


轟くんが何かを言おうとした時


「ウオオオ、ウアアアアッ!!」


「……………………え?」


「…………は、嘘だろ、こいつら。」


剥き出しの脳味噌、言語になってない言葉。


「の、脳無……?」


突如現れた脳無に驚き、USJを思い出して恐怖から少し震える。

「っ逃げるぞ、苗字。」


「っうん!!」


轟くんの声に弾けるように足を動かし、距離をとる。


『全員学校へ向かって走れ!!応戦はするな、あいつの戦闘力を侮るな!!』


先生の鬼気迫る声に、本当なんだ、訓練とかじゃなくてまた、またヴィラン連合が、


思い出される拉致された記憶。


ぶるり、ぐらり。嫌悪感から体が更に震えて、前を走る轟くんとの距離がどんどんと開いていく。


「……っ苗字!?大丈夫か!!」


「だ、大丈夫、走れる。」


「顔真っ青じゃねぇか…………せめて手繋いでろ、またお前が連れ去られたら、」


「連れ去られたら、どうするんですか?」


その声、は、


振り返ると私が死にかけた原因、金髪の女性がそこにいて。


「苗字!!!逃げるぞ!!」


ぐん、轟くんに引っ張られて皆が観覧している場所へと向かうが、


「な、んだよ、これ……?」


声すら出ない。観覧していたはずの皆は分断されていて、そこには数名と先生が3体の脳無の相手をしていた。


「せ、先生!!こ、これって、」


「っクソ、仕組まれてた。今日職員が少ないってバレてやがった……。」


そう言いながら脳無を攻撃するが、一向に倒れない脳無。


「ヴィラン連合の人もさっきいました!!」


「やっぱりな……学校まで向かわせたいが、生憎こいつらが離してくれねぇ。」


「そんな……。」


皆懸命に戦っている、しかし脳無との力の差は歴然。


だって、オールマイトがUSJで、ボロボロになって戦ったアイツが脳無だった。


そんなの、


「っ戦うぞ、苗字!!」


「と、とどろき、くん。」


「絶望するな、まだ負けてねぇ。」


「……うん。」


「怖いのはわかる、でも、俺たちはヒーローになるんだ。」


「………………うん。」


「必ず守る。だから、頼りにさせてくれ。」


「………………うんっ!!」


私達は繋いでいた手を放して、加勢した。

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