ごめんなさい、ありがとう
目を覚ますと、真っ白な天井。真っ白なカーテン。
また、倒れてしまったのか。
初めて使う絶対氷結は、体に大きな負担を訴え、技を放った後の記憶がもう無かった。
とりあえず、ナースコールを押そうとすると、
「…………苗字。」
「……せ、んせい。」
若干驚いたような表情で、こちらに歩み寄ってきた相澤先生。
「目が覚めたのか。」
「はい、ついさっき。……また暫く寝てました?」
「いや、1日ぐらい。…………お前、使ったんだな。」
「あ、…………はい。……ごめんなさい。でもお母さんと違ってまだまだ未熟者だから、どの程度の範囲で効果があったのかわからないんですけど、」
「……全域、雪景色に変わっていた。」
「……え!?」
「状況は俺が思っていたよりずっと悪くて、脳無もまだ多数残っていた。」
「そ、うなんですか…………皆は!?」
爆豪くん達は大丈夫だったのだろうか、姿が見当たらなかったけれど。
「全員怪我は負ったものの、無事だ。…………お前のお陰だ。ありがとう。…………本当に。」
「そ、うですか……良かった。」
本当に良かった、誰も死なずに誰も失わずに済んだんだ。私だって個性は失ったけれど、生きてる。誰も失われてない。
しかし、結果としてよかったものの、先生としてはそれだけでは終われないのだろう。私が笑っていても、先生は顔を顰めたままだ。
「……せ、先生。私、思ってたよりずっと平気ですよ。」
「……嘘つけ。」
「本当です。」
手をかざして、力を込めても何も出てこない。もう手を冷やすことすらままならない。それでも覚悟が出来てたから。
「通形先輩のように、急に失った訳じゃないので。ちゃんとわかってて、個性を失うとわかってて、使ったんです。この現実を受け入れます。」
「……じゃあ、なんで。」
先生の手が伸びてくる。
その手は、少しカサつき皮の厚い指先は私の目元を滑る。
「……泣いてるんだ。」
え、と思い自分の手も目元へと伸ばしてみる。するとしっとりと濡れていて、あれ?と思うと同時にぼろぼろ溢れた。
「ごめんな、……助けてやれなくて。」
「い、や、……ぜんぜん、」
「……ありがとう、皆を、俺を助けてくれて。」
「………………はいっ……!」
一度溢れた涙は止まらず、先生が優しく見つめる中私は泣きじゃくった。