あの日の僕ら
「では!!改めて!!1-A同窓会兼、苗字くんとの再会を祝して!!かんぱあああい!!」
「「「かんぱああああい!!!」」」
「…………後輩ちゃん?」
「はい?」
「なんで、いるの??」
わいわいと騒ぐ皆の声に掻き消されないよう、隣に座り酒を煽る後輩ちゃんに少し声を張り上げて聞くと、
「だって!ここにいれば昔の先輩知れそうですし!」
「昨日話したじゃん。」
「あれだけじゃ全然わからないですよ!それに皆さんから見た昔の先輩だって知りたいですし!!」
「なんでそこまで……。」
「あと、皆さんは知らない今の先輩を私は知ってます!それを皆さんにお伝え出来るかな、と思って!インゲ……飯田さんの誘いに乗らせて頂きました!!」
飯田くんの仕業なの……?
クワァッと飯田くんを見ると、何を勘違いしたのかぐっ!!と親指を立てられた。違う、そうじゃない。
「いやぁでも今の苗字の事とか知りてぇ!!何してんだ?今。」
「今はしゅっぱ」
「出版社で雑誌の記事を書いてますよ!!特にヒーローについて!」
「へえええ!!そうなのか!!」
「苗字さん、頭良かったもんね、向いてそう!!」
「そ、そんな事ないよ……最初は怒られてばっかりだったし。」
「私は今先輩に怒られてばっかりですけどね!」
「え!?苗字って怒るの!?」
「怒りますよー!!怒り方だって、」
「ちょ、ちょっと!!辞めて!!」
慌てて後輩ちゃんに掴みかかるが、その手を轟くんにとられる。
「と、轟くん!?」
「苗字の話もっと聞きてぇ。……今のこと全然知らねぇし。後輩さんは俺より苗字の事知ってそうだし。」
「ふふ、先輩の情報は需要があるようなので語らせて貰いますよ!」
「んで、どんな風に怒るんだ?」
「こう……静かに……こうだろう、と思い込みで動くなって言ったよね?……みたいな。」
「こっっわ!!!」
「苗字さん意外と怖いんやなぁ……!?」
あぁ、もう。そんな事まで話さなくて良いのに。ため息をつく私を見て、轟くんや皆は笑う。
「あ、あの、苗字さん。」
「うん?」
緑谷くんに首を傾げる。
「今の話もそうなんだけど、……僕達と離れてからの話も、聞きたいな。」
「確かに、それウチらも気になってたとこだ。」
「今とりあえず元気そうだから良いけど、……大変じゃなかった?個性失って1人で生きてくの。」
「え?1人?……先輩、親御さんいないんですか!?」
「えぇ!?周りに話してないの!?」
「う、うん。必要なかったし……。」
「言ってくださいよ!!じゃあ今まで風邪引いた時とか、1人でなんとかしてたんですか!?」
「そうだね、前々からそうだったし、」
「言ってくださいよ!!言ってくれればお見舞い行ったのに!!」
「ご、ごめん。そんな怒らないでよ。」
火でも吹きそうな勢いで怒る後輩ちゃんにたじろいでしまう。本当に良い子なのだ、私は人に心配されるような要素が多すぎるから、この子には心配なんて掛けたくなくて言えなかった。
「苗字はもっと周りを頼るべきだ。」
「うっ……。」
轟くんの言葉に言葉を詰まらせる。い、以後気をつけます……。
それより、皆が知りたいのは今までの私。時間は限られてるんだ、有名ヒーロー達が集まる機会なんてそう無いし、
「……じゃあ、雄英出てからの話をさせてもらうね。」
私は過去に思考を巡らせた。