愛を見せる

「あ!やっと帰ってきた先輩!!映像見ましたよ!?先輩やばいですね!!」


「やばいって、何が?」


「あれ、氷を形作って攻撃するやつ!!あれが個性なんですか?」


「そう、氷の造形。……他にも色々あるけど、まぁなんやかんやあって個性無くなっちゃってさ。」


「あ、その話も聞きました。……想像以上に先輩かっこよくて、惚れそうです……!」


「えぇ?なにいってん」


の、と続きそうだった言葉は、私を抱き込み後輩ちゃんの前に顔を出した轟くんによって


「……それは、駄目だ。」


掻き消され、その言葉に行動に、クラス皆と後輩ちゃんが沸き立ってしまった。


「と、轟くん!!まさか、もう告白とか……!?」


「あぁ、した。」


「ちょ、轟くん!?」


恥じらいは無いの!?


「それでそれで!?苗字の回答は!?」


「今の俺を知らないから、まずは知ってから返事する。って言われた。」


「……なんだよー!!もう付き合ったのかと思ったのに!」


「まぁでも名前ちゃんの言う通りね、離れた時間が長すぎたわ。」


皆私たちのことをなんだと思っているんだ、見世物じゃないんだけど!?


「盛り上がっているところ悪いが、そろそろお開きにせねばならん!!」


「え!?もう!?」


「あっという間だったなぁ。」


「苗字!!また必ず会おうぜ!連絡先教えてくれよ!」


「あ、うん!!」


「私も私もー!!」


切島くんと芦戸さんを筆頭に、皆と連絡先を交換して、嬉しくなる。


また皆と繋がれるんだ、こちらが一方的に縁を切ったというのに。


「苗字、送ってく。」


「え?大丈夫だよ?」


「……かっこつけさせてくれ。」


ぎゅんっ。


「ひゃ……ひゃい。」


そう返せば、笑いながら私を握った轟くん。しんど……イケメンしんどい…………。


「あ!じゃあ私はお邪魔しちゃ駄目ですね。」


「後輩さんは僕が送っていこうか?」


「え!いいんですか!平和の象徴デクさんに!!」


「ぼ、僕はそんな凄いものじゃ……。」


緑谷くんに送って貰うらしい後輩ちゃんに別れを告げて、私と轟くんは私の家へと向かって歩き出した。





「次、いつ会える?」


「え?……いつ、……いつだろう。基本的に予定はいつも無いから、いつでも会えるよ?」


言ってから気づく、やばい、寂しい女だと思われる。仕事しかしてない女だとバレる……!


「……明日は?」


「明日!?」


「だ、駄目か…………その、…………早く会いたくて。」


ぎゅんっ!!!


「い、いいよ……明日仕事終わりとかで良ければ……。」


死にそうになりながらも、轟くんに快諾する。


「ほんとか!!俺も明日夕方には仕事終えられると思うから、会社まで迎えに行く。後で住所送っといてくれ。」


「わかった。…………いや、私がそっち行くよ?明るい時間だと轟くん目立っちゃうだろうし。」


「大丈夫、ちゃんと変装していくから。」


ふふん、と笑った轟くんに不安を覚える。大丈夫かな……明日会社の下にショートが来て、民間人がパニックになってます!!なんて事にならないといいんだけど……。


「お、着いたな。」


「あ、ホントだ。送ってくれてありがとう!」


「ん。……また明日な。」


「うん、また明日。」


微笑んだ轟くんに背を向けて、また明日。かぁ、良い響きだな。なんてルンルン気分でマンションの階段へと向かおうとした時。


ぐんっ、


「うわっ!?」


後ろにいた、恐らく轟くんに腕を引かれ、バランスを崩しながら彼の元へ戻り、


「っ……!?」


体が彼の元に着くと同時に、後頭部を掬われるようにして持たれ、気づけば彼の唇が私のとくっついていた。


「…………あ。」


「……あ、じゃないよ、と、轟くん…………。」


ゆっくり離されて、あ。なんて言う轟くんに呆れてしまう。こっちは真っ赤で、真っ赤っかで、心臓がバクバクうるさいと言うのに。


「悪い、つい。…………帰っちまう、って思ったら手が出てて…………ほんとごめん。まだ付き合ってねぇのに。」


何その可愛い言い訳は。


怒るに怒れない言い訳に頭を抱えて、次は許さないからね!!なんて言い残してマンションの階段へと駆け込んだ。


…………ほんと、ほんとに、もう!!

top ORlist