後輩の気持ち
「…………あれ?しょ…………轟さん?」
「……お。苗字の後輩さん。」
「こんなとこで何してるんですか?張り込みとか?」
「いや、苗字を待ってて。」
「先輩!?あぁ……そっか、今定時だから……帰るつもりだったんだな……。」
「どうしたんだ。」
「あーいや……先輩ちょっと他の人のミスに付き合わされちゃって、今手が離せそうに無いんですよね。」
「……そうか。」
「今日は辞めた方がいいかもですけど…………先輩に伝えときましょうか?」
「……いや、待ってるから大丈夫だ。」
「え!?いつになるかわかりませんよ!?」
「大丈夫だ、少しでも顔見れるならそれで。」
けっっっ、健気!!!
先輩、超愛されてますね!!うわ!!そしてこの優しい微笑み!!ショートやばい!!かっこよ!!
「そ、それならせめて中入っててください!轟さん有名だし、苗字先輩の友達ってことにしておけば、」
「……友達。」
うわあああ!!嫌そううう!!!友達ですら嫌なんですね!でもまだ付き合ってないから彼氏でもないし、でも友達は嫌なんですね!!わかります!!
「ま、まぁまぁ!とりあえずですよ。それにこんな外で待ってるより、中で待っててくれた方が先輩も気づいた時、気も楽だと思いますよ?」
「……確かに、入らせてもらってもいいか?」
「はい!どうぞどうぞ!」
◇
「…………え?ショートじゃね?」
「え!?嘘!?な、なんで、」
「ええっと…………苗字先輩に用事あるみたいで!!」
「苗字に……?仕事の案件か?」
「……いえ、プライベートで。すいません、仕事の邪魔して。」
「い、いやいやいや!!!」
「全然!!いくらでもいてもらって構わないですよ!!」
そう言って笑う編集部の面々。そりゃそうだ、来たのは超人気イケメンヒーロー、生で見るだけでお肌が若返りそうだもん。
「……ありがとうございます。」
そう言って軽く笑った轟さん、しかしその笑顔は先輩の前で見せるものより遥かに固くて。まぁそれでも破壊力はとんでもないので、編集部には黄色い悲鳴が上がった。
「その内先輩出てくると思うんで、ソファーにでも座っててください!」
「わかった、……ありがとう。」
「いえいえ!それでは!」
先輩は愛されてるなぁ、ちょっとだけ羨ましくもなる。
イケメンで、優しくて、強くて一途。これ以上に良い男なんているのだろうか?
とは言え、大好きで尊敬する先輩を、轟さんなら……ショートなら幸せにしてくれるだろう。
……必ず幸せにしてあげて欲しい、壮絶な過去を生きた先輩。仕事に明け暮れて、ショートから目を逸らそうと必死に生きてた先輩。
いつか2人が結ばれた日に、言ってやるんだ。
お幸せに、って!!