答え合わせ

テストも無事補習無しで済み、安堵した数日後。


「…………苗字。」


「うん?」


「話したいことが、ある。」


「え!?」


私の声に教室の至る所でガタッ、とかえ!?とか声が聞こえる。おい、辞めてくれ!!恋バナに仕立てあげようとしてる人達!!辞めてくれ!!


「な、何?」


「…………ここじゃ、ちょっと話し辛ぇから。」


そう言って轟くんに着いて行って教室を出る。


教室の扉付近で恐る恐る皆を振り返ると、多くのクラスメイトがこちらに向かって親指を立てていた。え!?そ、そんなに広まってたの!?


ぞっとしていると苗字?と呼ぶ声が聞こえたので慌てて彼の後ろを追った。





「な、何?」


「…………遅くなって悪かった。」


「え?」


「ハンカチ。」


「ハンカチ……?」


「推薦入試の時、ハンカチ拾ってくれた子だろ。」


あの日の記憶が蘇る。


覚えて、くれてたんだ。


「…………うん、そう。覚えててくれたんだ。」


「いや、……最近まで忘れてた。色々、お母さんのこととか、色々忘れてて……親父のことでいっぱいいっぱいだった。でも、緑谷と戦って、色んなこと気付かされて……それで、苗字の事も思い出した。」


遅くなって、ごめん。そう言って頭を下げた轟くんに驚き、慌てて頭を上げさせる。


「ぜ、全然!!ちょっとだけ残念に思ってただけだし!結果として今同じクラスになれてるわけだし、全然大丈夫だよ!」


「…………同じクラスになれたら、って思ってくれてたのか。」


…………………………え?あれ?私今凄く恥ずかしいことを申してしまったのでは。


「………………え、あ、…………………………うん。」


君の笑顔が忘れられなくて、なんて口が裂けても言えない。キモすぎるじゃん、1回話したきりで笑顔が素敵だったので忘れられませんでした。どこぞのお嬢様が、なんなら八百万さん的な人が言ったら可愛いだろうけど、私が言ったらヴィランだよもう。


「そうか……………………っふふ、そうか。」


「えっと…………なんか、キモくてごめんね。」


また笑われてる、意味もわからず笑われてる。


なのでとりあえず謝ってみた、普通に考えたら笑顔うんぬん以前にキモかったかもしれないし。


「ふふっ、キモくなんかない。…………俺も思ってた。」


「え?」


「お前と高校生活一緒に過ごしてみたいって思ったんだ、だからまた会える日を楽しみにしてる、なんて言った。」


「…………そ、そっか……。」


「あぁ、……良かったお前がここにいてくれて。」


ふわり。


轟くんが浮かべた笑顔はあの時焼き付いた笑顔そのもので。


ドクン、呼吸が止まってしまいそうなほど、胸が大きな声で鳴いた。

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