答え合わせ
テストも無事補習無しで済み、安堵した数日後。
「…………苗字。」
「うん?」
「話したいことが、ある。」
「え!?」
私の声に教室の至る所でガタッ、とかえ!?とか声が聞こえる。おい、辞めてくれ!!恋バナに仕立てあげようとしてる人達!!辞めてくれ!!
「な、何?」
「…………ここじゃ、ちょっと話し辛ぇから。」
そう言って轟くんに着いて行って教室を出る。
教室の扉付近で恐る恐る皆を振り返ると、多くのクラスメイトがこちらに向かって親指を立てていた。え!?そ、そんなに広まってたの!?
ぞっとしていると苗字?と呼ぶ声が聞こえたので慌てて彼の後ろを追った。
◇
「な、何?」
「…………遅くなって悪かった。」
「え?」
「ハンカチ。」
「ハンカチ……?」
「推薦入試の時、ハンカチ拾ってくれた子だろ。」
あの日の記憶が蘇る。
覚えて、くれてたんだ。
「…………うん、そう。覚えててくれたんだ。」
「いや、……最近まで忘れてた。色々、お母さんのこととか、色々忘れてて……親父のことでいっぱいいっぱいだった。でも、緑谷と戦って、色んなこと気付かされて……それで、苗字の事も思い出した。」
遅くなって、ごめん。そう言って頭を下げた轟くんに驚き、慌てて頭を上げさせる。
「ぜ、全然!!ちょっとだけ残念に思ってただけだし!結果として今同じクラスになれてるわけだし、全然大丈夫だよ!」
「…………同じクラスになれたら、って思ってくれてたのか。」
…………………………え?あれ?私今凄く恥ずかしいことを申してしまったのでは。
「………………え、あ、…………………………うん。」
君の笑顔が忘れられなくて、なんて口が裂けても言えない。キモすぎるじゃん、1回話したきりで笑顔が素敵だったので忘れられませんでした。どこぞのお嬢様が、なんなら八百万さん的な人が言ったら可愛いだろうけど、私が言ったらヴィランだよもう。
「そうか……………………っふふ、そうか。」
「えっと…………なんか、キモくてごめんね。」
また笑われてる、意味もわからず笑われてる。
なのでとりあえず謝ってみた、普通に考えたら笑顔うんぬん以前にキモかったかもしれないし。
「ふふっ、キモくなんかない。…………俺も思ってた。」
「え?」
「お前と高校生活一緒に過ごしてみたいって思ったんだ、だからまた会える日を楽しみにしてる、なんて言った。」
「…………そ、そっか……。」
「あぁ、……良かったお前がここにいてくれて。」
ふわり。
轟くんが浮かべた笑顔はあの時焼き付いた笑顔そのもので。
ドクン、呼吸が止まってしまいそうなほど、胸が大きな声で鳴いた。