あの子と私

あれから暫くして、仁花ちゃんは正式入部となった。


日向くんと影山くんは仁花ちゃんにも勉強を教わっているらしく、特に日向くんは仲良くなっていた。


「影山くんは、仁花ちゃん話しかけにくい?」


「?なんでっすか。」


相も変わらず荷物持ちや、片付け。体育館の片付けもそうだが、私の仕事まで手伝ってくれる影山くん。


「いや、だって、同い年だし私より話しかけやすいかなぁとか思って。」


本当のところは、潔子さんでも無く、仁花ちゃんでも無くどうしていつも私の手伝いをしてくれるのか。


自分が少しだけ特別扱いされてる自覚はあった。少しだけ、少しだけね!!


だから、その理由が知りたくて。邪な心でごめんなさい。


「……別に、話しかけにくいとかじゃないっすけど、」


「うん?」


「苗字さんが、他の人より話しかけやすい……から。」


ずきゅぅん。心臓を貫かれた。死ぬかもしれない。


それは、私に、他の人より、懐いている。そう言った解釈で宜しいですか……!?


「あ、う、そ、そっかぁ。そ、そっかそっかぁ。」


「…?」


訝しげな表情を浮かべる影山くん。キモくてごめんね。嬉しすぎちゃった。


「よし!さっさと片付けよう!影山くんも月島くんに勉強教わらないとでしょ?」


「うっ…。」


一瞬で嫌そうな顔になる影山くん。それを見て笑ってしまう。本当に勉強嫌いなんだなぁ。


「影山くん、」


「…はい?」


「一緒に東京行こうね。」


「………当たり前っす。」


「だよね!」


ム。と唇を突き出した影山くんに、笑いかける。


当たり前。それが本当に当たり前になるように、勉強してもらわなければ!





「………燃え尽きてるね。」


「赤点取ったみたいだよ……。」


「あらら……田中くんとノヤっさんはどうだった?」


「ふふふ……お前らのお陰で、」


「俺らは赤点回避!!やれば出来る俺たちなのさ!!」


そう力くんと私にドヤ顔する彼ら。40点て。





「そっか……冴子姉さん来てくれるんだね。」


「知ってるんすか?」


「うん、田中くんの家に行くとよく会うよ。」


いつも会うとかーわいいなー!!と言って頭をグリグリ撫でられる。そしていつもあの豊満なお胸に嫉妬する。


「へぇ……でもとりあえず良かったです。」


「そうだねぇ、東京まで来れそうで安心したよ。補習頑張ってね?」


「……うす。」


よし、片付け終わり!


「今日も手伝ってくれてありがとう!」


「いえ。……あの、」


「うん?」


「……勉強、出来なくて呆れましたか。」


え?


「……そんな事、無いよ?出来ない人他にもいるし。どうして?」


眉間にたっぷりを皺を刻んで、言いにくそうにしている影山くん。


「…………っなんでもないっす!!」


「えぇ!?」


お先失礼します!!と先に帰ってしまった。


何か言いたそうだったのに、……えぇぇ?

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