東京に着いて、連敗中。
もはや潔い程に連敗中。日向くんと影山くんがいないから、というのもあるだろうが、そもそもここにいる他の学校、レベル高い。
この後には1週間の長い合宿も控えてるのに、大丈夫だろうか。私なら心折れそうなんだけど…。
「おぉー!まだやってんじゃん!上出来!!」
「姉さん!!」
「え?西谷のお姉さん?」
「龍のです!!」
「……無事で良かったぜ、お前ら。」
冴子姉さんの後ろに目をやると、補習で遅れた2人の姿。まるでヒーローの登場だ。
2人が戻った烏野は勝利を収める。
やっと見られた笑顔に安堵した1日目。
◇
しかし、亀裂は突然弾けた。
日向くんと旭さんの衝突。
日向くんと影山くんの変人速攻で目を瞑るのを辞めたいとの発言。
日向くんを中心に、徐々に亀裂は広がっていき、緊張感が高まる。
そしてそこから日向くんはメンバーから外され、外から見ることに。
烏野高校に戻ってきてからも、表情の晴れない皆。
大丈夫かな。春高予選、時間そんなに無いのに…。
そんな事を考えていると、慌てたような仁花ちゃんの声。
急いで声のする方へ向かうと、日向くんを投げている影山くんの姿。
「何やってるの!?」
「名前さん……!!ふ、2人が、け、けんか、」
「……仁花ちゃん田中くん近くにいたから呼んできて。」
「は、はい!!」
「トス上げてくれるまで、離れねぇからな!?」
「だから、こんなの何回やったって変わんねぇよ!!」
「ちょっと、いい加減辞めてよ!!頭冷やして!!」
2人の肩を掴むが、全く聞こえていないようにさえ感じる。
「トス!!上げてくれよ!!!!」
「……っうっせぇんだよ!!」
「っ!?」
え、ちょ、
◇
「お前ら、喧嘩は辞めろー!!!」
良かった、田中さんまだ帰ってなくて…。………え?
「……おい、苗字?おい、おい!!!」
田中さんが必死に揺さぶる。
しかし、目は覚まさないし、
血も、止まらない。
「……お前ら、何した?」
「……わ、わかんねぇっす、今、気づいて、」
日向くんも影山くんも、本当に今気づいた様だった。2人とも驚いて固まっている。
2人とも熱くなっていたから周りが見えていなかったんだ。でも、だからってこんな、
「……病院。やっちゃん、先生まだいるはずだから呼んできてくれるか。」
「は、…はい!!」
「田中さん、俺達も、」
「お前らもう帰れ。」
「で、でも俺たちのせいで、」
「いいから帰れ!!お前らがいても出来ることねぇよ…。」
「「…………っ。」」