止まらぬ涙

「「「しーらとりざわ!!」」」


鳴り響く太鼓の音と人の声。


思わず圧倒される白鳥沢学園の応援団。


隣に並び立つ冴子姉さん、そして仁花ちゃんと共に声を張り上げる。


どんなに拙い応援でも、彼らの背中を押さなくてはいけないんだ!!


応援にも、牛島さんにも圧倒されながらも、私達はコートの中も外も関係なく必死にもがいた。





潔子さんの瞳から涙が零れている。


しかし、その光景もすぐに見えなくなった。


「……あれ?」


顔を触ると、濡れている。泣いてるんだ私も。


白鳥沢学園に勝利した烏野。全国大会が決まったんだ。


皆を信用してなかった訳じゃない、でもこんな結果になるなんて信じてた訳でもない。


驚いて、感動して、涙は止まらない。


「……名前さん、下行きましょう!!」


仁花ちゃんも目に涙を浮かべながら声をかけてくれたが、嗚咽が止まらなくて返事が出来ない。


「……大丈夫ですか…?」


「……おちついたら……いくから、さき、」


「!はい、先行ってますね。」


言いたかった事を理解してくれて、先に皆の元へと向かった仁花ちゃん。


私は止まらぬ涙を無理に止めようとはせず、気が済むまで泣くことにした。





「……あれ。」


「んぉ?どうした?影山。」


「苗字さんがいねぇ。」


「え?……ほんとだ。谷地さーん?」


「はいはい?」


「苗字さんは?」


「あ……。名前さんは、ちょっと、試合に感動し過ぎて…落ち着いたら来るって言ってた!」


「そっかぁ…。」


「…………。」





誰もいなくなった観覧席。


タオルを顔に押し付け、止まりつつある涙を吸わせた。


ああぁ、駄目だ。もはやコートを見るだけで泣けてくる、皆の勇姿を思い出してしまう。


じわぁ、と滲み始めた涙を止めようとまたタオルを押し付けた。


そろそろ皆の所に戻らないと迷惑になるなぁ。そう思ってゴシゴシとタオルで目元を拭いていると聞こえる足音。


誰だろう、忘れ物した人とかかな。…ボロ泣きしてるの見られると恥ずかしいからタオルで隠しとこ。


その足音が消えるまで、私はタオルで顔を覆った。しかし、


「……苗字さん。」


聞こえたのは、大好きな声。


「……っ影山くん!?」


思わず顔を上げる。そして気づく。あ、私今顔すっごい汚いのでは、と。


慌ててまたタオルで顔を覆う。


「…大丈夫っすか?」


「う、うん。涙はやっと止まった。」


「……じゃあなんでタオル。」


「今顔酷いだろうから…目も真っ赤だろうし……。」


「気にしないっすよ、だから顔見せてください。」


「いい、いや!!無理!!」


グイグイタオルを引っ張ってくる影山くん。な、なんで顔を見たがるわけ…!?


「……あ!!」


少しの動揺から手元を緩めてしまう、その隙に奪われたタオル。


「……全然、顔酷く無いっすよ。」


「う、あ、み、見ちゃダメ。」


なんとか隠そうと俯く。


「……わかりました、見ません。」


その声にありがとう、と声を零すと同時に感じた温もり。


……え?


肩に乗った影山くんの頭、背中に回された腕。


「かか、かげ、影山くん!?」


「……はい?」


「はい?じゃなくて……!?」


「…勝ちました。」


「……え?」


「勝ちました。皆で。」


「……うん。」


「1人じゃない、あれ嬉しかったです。」


「……うん。」


「…今日の俺も、活躍してました?」


「うん、大活躍だった。…見惚れちゃうようなプレーだったよ。」


「……そっすか、…じゃあ、勝手に抱き締めてるの許してください。」


そう言って腕に力を込められる。


こんな姿誰かに見られたらまずいよなぁ、そんな思考もあったけれど、


またも流れ始めた涙を拭うことも出来ず、私は頷いて、彼の背中に腕を回した。

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