『いつでも会いたいです。』
ぼぼぼぼっと顔が熱くなる。鏡を見ながらファンデーションを乗せていくが、チークはいらないかな……。
なんでそんな事言うんだ、とかまるで口説いてるみたいじゃないか、なんて舞い上がったが、
もう1回なんて言いません。以前言われた言葉に、顔の熱は引いた。やっぱりチークも乗せていこう。
影山くんは、もう私との先を望んでない。望んじゃいけない、と思っているのか、望んでないのかわからないけど。
どちらにせよ、そんな気は無いのだ。なのにあんな言葉は贈ってくる。そんなのずるいよ……。
◇
「…………あ。」
「お、お待たせ!!私の方に合わせて貰っちゃったのに……。」
「全然待ってないです、すんません。朝から急に。」
「ううん、休みだから大丈夫だよ。…………えと、二日酔いとか、大丈夫?」
「………………はい、ちょっと頭痛ぇぐらいで。」
「ええ!痛いんじゃん。早めに帰って寝よう?」
「はい、でも、その前に…………昨日は本当にすいませんでした。」
机にぶつけそうな程に頭を下げた影山くん。慌ててその体を起こさせる、に、日本代表……!!
「わ、わかったから!!もう大丈夫、充分ですから!!」
「…………許してくれますか。」
「はい!許しました!!」
そう言うとやっと体を起こした影山くん。仮にも日本代表に頭を下げさせる女、ヤバすぎる……誰にも写真とか撮られてないと良いけど……。
「埋め合わせ、したいです。」
「そんな埋め合わせとかじゃなくて、普通に次の約束立てよう?」
「…………ほんと、優しいっすよね。」
「え?」
そうだろうか、別に影山くんは来ようとしてた訳だし。会ったところで大事な話とかがあった訳でもないので、そんなに良い対応をしたとは思ってなかったけど……?
「優しいっす、ずっと。…………ずっと。」
くしゃり、影山くんの顔が歪む。
何を考えているの?何が、影山くんをそんなに
泣きそうな顔にさせてるの?
気づけば伸びていた手。彼の頬に滑らせた。
「………………え、」
「…………………………ご、ごめんなさい!!?」
その行動に目を丸くされ、我に返る。
慌てて引いた腕は座っていた椅子の背もたれに肘を打ち、震える。
「だ、大丈夫っすか!?」
「だ…………大丈夫…………!!」
すっごい痛い。び、びっくりした……何してんだ私は…………。影山くんだってびっくりしちゃってるよ……。
恥ずかし過ぎて、顔から火が出そうな程に熱い。
「じゃ、じゃあそろそろ帰るね!?ま、また今度!!!」
「え、あ、……はい!」
いても立ってもいられなくて、お金を置いて喫茶店を飛び出した。
本当に、何してんだ私は。
今の私達には、あんな距離近すぎるのに。