涙が零れたように見えたんだ

『いつでも会いたいです。』


ぼぼぼぼっと顔が熱くなる。鏡を見ながらファンデーションを乗せていくが、チークはいらないかな……。


なんでそんな事言うんだ、とかまるで口説いてるみたいじゃないか、なんて舞い上がったが、


もう1回なんて言いません。以前言われた言葉に、顔の熱は引いた。やっぱりチークも乗せていこう。


影山くんは、もう私との先を望んでない。望んじゃいけない、と思っているのか、望んでないのかわからないけど。


どちらにせよ、そんな気は無いのだ。なのにあんな言葉は贈ってくる。そんなのずるいよ……。





「…………あ。」


「お、お待たせ!!私の方に合わせて貰っちゃったのに……。」


「全然待ってないです、すんません。朝から急に。」


「ううん、休みだから大丈夫だよ。…………えと、二日酔いとか、大丈夫?」


「………………はい、ちょっと頭痛ぇぐらいで。」


「ええ!痛いんじゃん。早めに帰って寝よう?」


「はい、でも、その前に…………昨日は本当にすいませんでした。」


机にぶつけそうな程に頭を下げた影山くん。慌ててその体を起こさせる、に、日本代表……!!


「わ、わかったから!!もう大丈夫、充分ですから!!」


「…………許してくれますか。」


「はい!許しました!!」


そう言うとやっと体を起こした影山くん。仮にも日本代表に頭を下げさせる女、ヤバすぎる……誰にも写真とか撮られてないと良いけど……。


「埋め合わせ、したいです。」


「そんな埋め合わせとかじゃなくて、普通に次の約束立てよう?」


「…………ほんと、優しいっすよね。」


「え?」


そうだろうか、別に影山くんは来ようとしてた訳だし。会ったところで大事な話とかがあった訳でもないので、そんなに良い対応をしたとは思ってなかったけど……?


「優しいっす、ずっと。…………ずっと。」


くしゃり、影山くんの顔が歪む。


何を考えているの?何が、影山くんをそんなに


泣きそうな顔にさせてるの?


気づけば伸びていた手。彼の頬に滑らせた。


「………………え、」


「…………………………ご、ごめんなさい!!?」


その行動に目を丸くされ、我に返る。


慌てて引いた腕は座っていた椅子の背もたれに肘を打ち、震える。


「だ、大丈夫っすか!?」


「だ…………大丈夫…………!!」


すっごい痛い。び、びっくりした……何してんだ私は…………。影山くんだってびっくりしちゃってるよ……。


恥ずかし過ぎて、顔から火が出そうな程に熱い。


「じゃ、じゃあそろそろ帰るね!?ま、また今度!!!」


「え、あ、……はい!」


いても立ってもいられなくて、お金を置いて喫茶店を飛び出した。


本当に、何してんだ私は。


今の私達には、あんな距離近すぎるのに。

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