ぐっ、と唇を噛み締める。
俺は、俺は名前さんから知らずのうちに愛を受け取っていて、
今も、知らないうちに許されているのか。
周りに咲き誇るネモフィラ。
名前さんのように小さくて、綺麗で、……可愛い花だと思ってたのに、そんな大切な意味が。
…………この人には敵わない。
「影山くん、……どうかもう自分を許して欲しい。」
私と、一緒に歩いていこう?
そう言って微笑んだ名前さんは、今まで見たどんな時より綺麗だった。
「……俺で、いいんすか。」
「影山くんじゃなきゃやだよ。」
「……傷つけました。凄く。」
「それでも、傷つけられても影山くんが良い。」
俺を包むひたむきな愛に、俺は屈服した。
「うわっ!?」
目の前にいる、世界で1番大切な人に手を伸ばした。
そして自分の腕の中に閉じ込める。
「…………もう、離せません。」
「……うん、離さないで。」
きつく、きつく。痛いかもしれない、それでもきつく抱き締めることで、俺の腕の中にいる名前さんを感じたかった。
「……好きです、名前さん。ずっと。高校生の時からずっと。」
「……うん、私も。」
幸せそうに笑う名前さんを見て、ふと堪えてた緊張の糸が切れて頬に涙が伝った。
「え!?か、影山くん!?」
「…すみ……ませ……!」
名前さんの肩に顔を押し当てた。
幸せ過ぎる。俺には幸せ過ぎるんだ、もう二度と手に入らないと思ってたのに、戻ってきてくれた。
「…………すきです、だいすきです。」
ぐずぐずと鼻を啜りながら、名前さんに愛を伝える。
なんともみっともなくて、かっこ悪ぃ。
でも、言いたかった。あなただけが俺の特別なんだって。
「……あいしてます…!」
「……私もよ、飛雄くん。」
飛雄くん。
一度は決別され、呼ばれなくなった名前。
驚き体を離して、腕の中で笑う名前さんを見る。
「愛してる、飛雄くん。」
離れても、離れても忘れられなかった最愛の人。
もう二度と傷つけない、……一生隣で笑っていよう。
にっ、と笑った名前さん。
愛しくて、愛しくて。俺はそっと彼女に口付けた。
fin.