「苗字です!よろしくお願いします!!」
「おう、よろしくなー。」
金髪にピアス。完全に輩だ……やばい商売でもしてるのだろうか……。
「あー……苗字。」
「ふぇい!!?」
「あ、す、すまん。」
「ほらもー旭全然部活来ないから苗字に忘れられてんじゃん。」
「え!?」
「い、いや忘れてませんよ!?」
急に話しかけられて、ビビったのは認めますが!
「……ごめんな、苗字。心配かけました。」
「い、いえ!!私なんか、そんな、」
「西谷から聞いたよ。俺と西谷の事すげぇ心配してたって。……ごめんな、ありがとう。」
「………っおかえりなさい!!」
ほんわか、優しい笑顔。帰ってきてくれたんだ旭さん。
それが嬉しくて嬉しくて。試合中も笑い合う2人を見ることが出来て嬉しくて。
気づけば自分でも驚くほど、大きな声が出てしまった。
「……おう。ただいま。」
目元をくしゃりと歪めて笑った旭さんは、その大きな手で私の頭を優しく撫でた。
おかえりなさい、おかえりなさい…!!
泣きそうになるのを堪えながら、子供扱いしないで下さい。と1つしか変わらないのに酷く大人びている先輩に噛み付いた。
◇
「名前!!」
「ノヤっさん!…部活、復帰だよね?」
「おう!!……ありがとな、あとごめんな。」
「……何が?」
「たっっくさん心配かけた!!」
「それは………まぁ、うん。心配した。」
「ごめん!!あと、待っててくれたな!!」
「それは、私だけじゃない。皆そう、待ってたよ!」
「…………へへっ、ただいまー!!!」
「うわぁっ!?」
飛び上がって抱き着いてきたノヤっさんを勿論支えきれる訳もなく、体育館の床に倒れ込む。
「おい!西谷!?だ、大丈夫か苗字!!」
「今結構痛そうな音してたぞ!?」
「おいおいノヤっさんも苗字もはしゃぎ過ぎだろー!!」
いってててて…。ノヤっさん……軽いといえば軽いけど、勢い凄いんだから辞めてよ!?
「へへへ!!悪い!!名前元気か!?」
「……うん、元気だよ。」
お尻は痛いけどね。それでも元気。2人が戻ってきて、他のみんなも笑ってる。
それが見られるだけで、元気になるよ。