「ほーら!飛雄!!泣かないの!!」
「えぐ……ひっぐ……」
「もう、男の子でしょ!?そんなんじゃ強くなれんよ!!」
「名前の1文字目ーちゃあん……」
「はいはい、よしよし。痛かったねぇ顔からいっちゃったねぇ」
「ひぐっ……」
「よしよし泣き止めたねぇ、偉いぞ!!」
「………つよい?」
「強い!!飛雄は強い子だ!!」
「うん!!」
「よーし、家帰ろう!今日のご飯何がいい?飛雄。」
「カレー!」
「え?また?美羽姉に飽きたって言われちゃうよぉ……」
「カレーがいい!!」
「うぅ……仕方ないなぁ、一与さんは良いとして美羽姉をなんとか説得しよう。飛雄も手伝ってよ?」
「おう!!」
◇
「飛雄!?お弁当持った?水筒は?」
「持った!!それさっきも聞いてきたぞ名前」
「だって!この間水筒忘れていって半泣きで帰ってきたじゃん!!」
「な、泣いてねぇし!!」
「嘘だね!!泣いてるの見たし!しかと見たし!!」
「うるせぇんだよ!!俺もう行くから!!」
「はいはい!行ってらっしゃい!気をつけてねー!」
◇
「飛雄」
「……………。」
「飛雄、入るよ」
「っ勝手に入ってきてんじゃねぇよ!!」
「いった…………ご飯、食べなよちゃんと」
「うるせぇよ…………話しかけんな………」
「嫌。話しかけるよ、辞めないよ。ほらご飯食べな。」
「………………なんで、」
「うん?」
「…………なんで…………怒らねぇんだよ……!」
「怒らないよ、だって1番辛いのは飛雄だってわかってるから。私に強く当たることしか出来ない今が1番辛いのは飛雄だよ。私じゃない。」
「………くぅっ……ひっぐ………」
「…………おいで」
「………ごめっ………!………なさっ……」
「いいよ、謝らないで。飛雄は今をしっかり生きるの、ご飯食べてちゃんと寝て。時間がきっと色んな傷を癒してくれるから。」
◇
「そうそう!今日から飛雄が高校生でねぇ、入学式だよ今日!」
『今日入学式なのねぇ、悪いけど名前。飛雄が高校卒業するまでは面倒見といてやってくれる?』
「全然いいよ美羽姉!むしろ影山家のキッチンを使う事が無くなると寂しいくらいだし!」
「名前ー、弁当どこ?」
「ダイニングのテーブルの上!!」
『仲良くやってね?中学よりは荒れないと思うけどまだまだ思春期だろうから。』
「任せて!ありとあらゆる飛雄の弱ってる部分を見てきた私に怖いものは無いよ!」
『ふふっ、心強いわ。じゃあまたね、またそのうち帰るわ』
「了解!じゃあね!」
「姉ちゃん?」
「そうそう!美羽姉またその内帰るって」
「その内っていつだよ、全然帰ってこねぇくせに」
「え?何?寂しいの??飛雄ったらシスコンだったのかぁ」
「あぁ!?うるせぇよ!!もう行く!!」
「はいよ!行ってらっしゃい!気をつけてねー!!」
基本的には笑ってて
俺が落ち込めば側にいて
美味い飯を作ってくれる
これが俺の姉ちゃんもどき。