いつ起きてるんだ
「…………最悪。」
「まぁ、……ドンマイ?」
「……友達は何になったの?」
「男女混合のリレー。」
「…………良いなぁ、それってあれだよね、何も出ない人全員参加のあれだよね。」
「そうそう、落ちこぼれ達のリレーよ。気が楽。」
「…………はぁ。」
「名前は障害物競走だっけ?」
「そう……こんなチビにハードル飛ばせたり、パン食いとかやらせようとする皆の悪意が凄い……。」
「名前がやったら面白そうだもんね。」
「そう!!こういう奴!!こういう奴がいるからぁ!!」
「あはははは!!」
酷いよ……皆面白がって……掲示係もそうだし、皆私の低身長をいじり過ぎなのでは?そろそろ1回泣いてみるか??
◇
「あれ?影山くん、今日部活は?」
「今日休み。」
「あ、そうなの?珍しいね。」
「オーバーワーク厳禁って事で部活ごと無くされた……。」
しゅん、と落ち込む影山くんは本当にバレー好きだ。凄い。
「じゃあ一緒に帰らない?」
「……あぁ。」
影山くんが鞄を持って立ち上がるのを待って、一緒に教室を出る。
「影山くんは体育祭何に出るの?」
「…………借り物競争だった気がする。」
「借り物競争!?!?」
めっちゃめんどくさいやつ!!なんでよりによって!?
「…………まさか、影山くん。」
影山くん自身が選ぶわけが無い。流石に借り物競争が何をする競技かぐらい知ってるだろうし。
という事は、導き出される答えは1つ。
「………………寝てた。」
「でしょうね!!」
勝手に決められたのね……きっと皆にやにやしてたことだろう。私は障害物競走の事で頭いっぱいすぎて見てなかったなぁ。
「借り物競争だけ?」
影山くんぐらい運動神経良い事で知られてる人なら、もっと競技に出されそうだけど。
「…………あとは……100とか200とかの短距離と、なんかのリレーに入れられてた気がする。」
「うわぁ……適当……。」
「寝起きでなんか色々言われて、なんとか覚えてたのが借り物競争だった。」
酷い話だ……。
「嫌じゃないの?借り物競争。」
「嫌に決まってんだろ。」
は?と言う顔をする影山くんは、いくら美形と言っても怖いと思います。
「で、ですよねぇ……。あれだよね?毎年好きな人、とか書かれてるやつ。」
「……っはぁ!?」
「えぇ!?」
な、なんだい急に大声出して。
「す、好きな人とか……。」
「あ、でも全部に書いてある訳じゃないよ?背の高い人、とか痩せてる人とか、年上の人とか。うちの学校のは、借り物って言うより借り人競走だね。」
昨年は見てて凄く面白かった。好きな人、で連れてきてそのまま告白しちゃったり…………凄く少女漫画的展開で憧れたなぁ。
「…………そんなんだったのか。」
「……去年見てなかったっけ?…………あ。」
「去年もお前の隣で見てたはずだけど。」
「影山くん、寝てたね……。」
寝る子は育つ――!