友達

「苗字!!」


「おはよう、影山く」


「勉強教えてくれ!!!」


「…………え?」


どかっ、と隣の席に腰を下ろした影山くんに首を傾げる。


理由を聞くと、期末テストで赤点補習を受けると東京遠征に行けないんだとか。


「それは……大変だね。」


「あぁ、だから教えてくれ!!頼む!!」


「わ、わかった、でも私そんなに頭良くないけど。」


「赤点は取らねぇだろ?」


「それは……まぁ……。」


赤点というのは40点以下だと言うことはご存知なのだろうか。


100点満点のテストで40点以下と言うのは……中々……やばいのでは……。


「いつなら教えてくれる?」


「うーん、お昼とか?朝は影山くん朝練あるもんね。」


夕方も部活あるし、彼は多忙な人だ。


「じゃあ昼な、よろしく頼む。」


「うん、わかった。」





「…………で、ここがこうなるの。おっけー?」


「………………うぬん。」


「え?どういう感情?」


うぬんって何?鳴き声??


「うぉ!?か、影山が勉強してる……!?」


「!?」


にゅ、と影山くんと私の間から人が出てきて、驚き固まる。


「あ?お前何しに来たんだ。」


「昼休みも月島に勉強教わろうと思って、お前も誘いに来た!!……のに、何お前教わってんだよ!?」


「別にいいだろ、自分で頼んだんだし。」


「いや、いいけど…………って、ごめんね!?急に入ってきて!!」


影山くんが、人とお話してる……。


その事実に驚いていると、彼はこちらを振り返り申し訳なさそうな顔で謝った。


「い、いえいえ。……影山くんの友達?」


「違ぇ。」


「あ、違うんだ。」


「同じ部活なんだ!!俺1組の日向翔陽!君は?」


日向くんは人懐っこい笑みを浮かべて聞いてきた。うーん、なんとも影山くんとは正反対な人物。コミュニケーション能力高そう……。


「苗字名前です。」


「苗字さんか!苗字さんは影山の友達?」


「友達……。」


と言って良いのかなんなのか、勝手にそうです。と言って、は?と言う顔されたら立ち直れる気がしない。


恐る恐る影山くんの方を見ると、彼は首を傾げて


「友達だろ?」


当たり前かのように言ったのが、心底嬉しくて、


「……うん!!そう!友達!!」


そう笑って言って見せた。日向くんに負けずとも劣らない良い笑顔が出来た気がする。

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