with mother!
「お前…………風邪引くんだな。」
「おっと?お見舞いでは無く精神的なダメージを与えに来たのかな??」
そう言うと楽しそうに笑った影山くんは、学校で預かってきたと言うプリント類を渡してくれた。
「ありがとう、まさか影山くんが届けに来てくれるとは。」
「まぁお前の家知ってたし……近いしな。」
「友達が家遠いから誰も届けに来てくれないのでは無いかと、焦っちゃったよぉ。」
「…………親は?」
「親?仕事だよ、急には休めないからね。」
「……飯は。」
「自分で作って食べたから平気だよ!薬も飲んだしだいぶ復活した!!」
「そうか、……良かった。」
そう言って優しく笑った影山くんは、今日も凄く美形で。
心臓がぎゅん、と鳴いちゃうぐらいにはかっこよかった。
「……じゃあそろそろ俺は、」
「ん?あれ?名前の友達?」
影山くんの後ろから聞こえた声に固まる。
「え、お、お母さん!?」
「あれ、ちょっとあんた起きてて大丈夫なの!?」
「う、うん……もう熱下がったし……。」
「あら、そうだったの?……え!?イケメン!?」
ぐわぁっ!!と影山くんを覗き込んで仰け反ったお母さん。辞めてよそのリアクション……!!恥ずかしい……。
「……どうも。」
「こんにちは!!名前の母ですぅ。え?もしかして、彼氏!?」
「ちちちち、違う!!!辞めてよお母さん!!」
「えぇ?違うの?」
「違います、影山です。」
「影山くん?名前の友達?」
「……はい。」
「そうなの、どう?この子学校では。あ!!ちょっと上がっていかない?美味しいお菓子貰ってきたのよ!」
「お母さん!!影山くん忙しいし、私風邪移しちゃったら大変だから、」
「苗字、大丈夫だから。」
「え!?」
なんで!?ここ頑張らなくて良いよ!?むしろ帰ってくれた方が助かるよ……お母さん何言い出すかわかんないし……。
「お邪魔します。」
「え、ちょ!!」
「はーい、どうぞー!!」
ちょっ……!!!誰か止めてよあの二人をおお!!!
◇
「へぇ!!バレー部なの。確か最近凄い強いのよね?全国とか行ってて。」
「はい。」
「……影山くんは、全日本ユースにも選ばれてる超絶凄い人だよ。」
「えぇ!?ちょ、ちょっとあんた、ホント今の内に嫁に貰っておいて貰ったら!?」
「ぶふっ!!」
「うわああああ!!?何言ってるの!?か、影山くん大丈夫!?」
お母さんの言葉に飲んでたお茶を吹き出してしまう影山くん。慌ててティッシュを差し出しながら元凶を非難する。
「だって、すっごい将来有望じゃない!!イケメンだし、礼儀正しいし、将来有望!!言う事なしね!!…………あ、もしかして彼女いる?」
「げほっ…………いや、いません。」
「え!??いないの!?」
「お母さんうるさいよ……!!」
「絶対モテるじゃない!!」
「そりゃ影山くんはモテモテだよ。でも影山くん好きな子いるんだって、だからこの話はおしまい!!」
「え?誰?学校の子??」
「え、……あの……その……。」
「おがあざん!!!」
もうやめてよぉ!!やめたげてよぉ!!!
止まらぬ母に頭を抱える。あれ?こんなにめんどくさい人だったっけ??
その後も影山くんを質問攻めし続けたお母さん。
ごめんね影山くん…………私じゃ力不足だ…………。
家を出る頃にはしんなりと萎れていた影山くんに合掌した。