2年生
「…………お、苗字。今年も……ってあれ?」
「か、影山くん…………。」
「苗字、どこだ!?」
「影山くんの腰にしがみついてます……。」
「!?」
2年生に進級し、クラス替え。
自分達の名前がどこにあるのか、たまたま会った影山くんと一緒に見に来たは良いものの、低身長の私は人混みの中に埋もれ、頭1つ飛び抜けている影山くんになんとかしがみついていた。
「く、クラス見えた……?」
「み、見えた。見えたから人混み抜けるぞ!!」
「う、動けない……。」
「あぁもう、お前本当にちっせぇな!!」
「わかってるよぉぉ……。」
今まさに見せつけられてるよ……私が世の中的に見ても小人だって……。
「ほら、俺の手握っとけ。一気に抜けるぞ。」
「ありがとうぅぅ……。」
大きくて綺麗な影山くんの手を握り、引っ張られる。
なんとか2人で人混みを抜け、離れた場所で一息ついた。
「…………空気が美味しい。」
「そんな変わんねぇだろ。」
「……っあ!!クラス!!どうだった?私何組?」
「3組。」
「またかぁ。……影山くんは!?」
「……3組。」
「!!!」
やった!!!同じクラス!!
「やったね!!今年もよろしくね!!」
「……あぁ、よろしくな。」
そう言って笑った影山くんも嬉しそうで安心した、私だけが喜んでたら悲しいし。
「あとお前の友達も同じクラスだったぞ。」
「え?友達?ほんと!?良かったぁ!!」
運が良い、本当に運が良かった。
「今年も影山くんと一緒なら楽しく過ごせそうだなぁ。」
「……俺も。」
「嘘?影山くん私の事見て呆れてるばっかりじゃん。」
「でも面白い。」
「……なら良かった。」
私達は並び歩いて、同じ教室へと向かった。
◇
始業式が終わり、今日は半日なのでもう帰れる。
今日影山くん部活無いって言ってたし、一緒に帰ろうか誘ってみようかなぁ。なんて思って影山くんの席へ向かおうとした所、
「影山くん!全国大会見たよ!!すっごいかっこよかった!!」
「私も見た!!かっこいいし、スポーツも出来るなんて凄いねぇ。」
「ね、連絡先交換しない?ガラケー?スマホ?」
ほあぁぁぁ…………おモテになられてる…………。
「……名前、あの輪には近づかない方がいいと思う。」
「友達!今年もよろしくね!!」
「うん、よろしく。……影山凄いね、去年違うクラスだった子達は影山が部活以外だと割とポンコツだって知らないのよね。」
「友達も中々酷いこと言うよね。」
否定は出来ないけども……。
「勉強出来ないのはそれなりに有名だけど、コミュ障だし、態度も悪いし、目つきも悪いし。かっこいい所しか知らないからこそあんな風に話しかけられるよね。」
「なるほど…………でも、向こうから話しかけられると影山くん、私以外の友達出来るチャンスなのでは?」
「どうだろ……あの子たち脈ナシだってわかったら離れていきそうだけど……。」
「…………確かに。」
影山くん大丈夫かな……なんて思ったが助ける術なんて私には無いので、女の子たちの間から見える困った顔に合掌して、家路に着いた。