++SS

▽2017/04/15(Sat)
伊瀬谷四季が甘えてくる
「プロデューサーちゃん、だっこお……」
「四季くん、ちゃんとしないとかっこわるいよー」
「やだやだ、プロデューサーちゃんが抱きしめてくれないと、俺今すぐ死んじゃうっす」
 今日のハイジョはダンスのレッスンだったっけ。そんなことを思いながらパソコンをカタカタと打つ。後ろには首にぎゅっとしがみついて離さない彼。仄かに汗のにおいがした。
 ねえプロデューサーちゃん〜、と半ば情けない声でしがみつく四季くんはなんだか年相応かそれより下のように思える。手の掛かる弟が出来たみたいだ。
「他のメンバーは?」
「俺以外はみんなコンビニ行ってるんで、もう他のみんなが居ないうちにはやく!」
 私の首筋に顔をうずめて駄々をこねるように彼が言う。普段はメンバーをまとめる、盛り上げる立場にある彼がこんな風に弱っているのも珍しい。それに他のメンバーに抱きついているところを見られるのが恥ずかしいと思っているのもかわいい。
 私は席を立ち上がり、簡易キッチンへと向かう。手にはマグカップ、ちょうどコーヒーが切れたのだった。彼はそんな私のひっつき虫をして、ずるずると引きずられる。全体重はかけていないだろうけれど中々に重い。
「はい、抱っこ」
 事務所には彼以外の人も居るし、まあ一応人目にあまりつかないところでした方がいいかな、と思いキッチンで腕を広げると、彼が間髪入れずに入ってきた。私よりも広いけれど、普通の男性よりは少しだけ小さい肩幅を縮こまらせて腕の中に入ってくる。彼は私との身長差を埋めるように背を屈ませた。私の肩に顔を押し当てる彼のその背中を抱きしめながら、とんとん、と背中を撫でると彼がぽつりぽつりと語ってきた。今日のダンスのレッスンが上手く行かなかったこと、自分が動けなくて他のメンバーに迷惑をかけてしまったこと。それを私は頷きながら聞く。ぎゅっと腰に回された腕が締まる。悔しいんだろうな、でもそんな彼の弱い姿を見ることが出来るのも少し役得だと思ってしまった。



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