++SS

▽2017/04/17(Mon)
渡辺みのりと朝チュン(語弊)
 朝の柔らかな日差しが入る。昨夜の大雨とはうって別の清々しい天気だ。
「……みのりさん」
 暖房を少し入れていたせいで喉がかさかさしている。昨夜は背もたれに背を付けるように眠っていたけど一転、体勢が彼に抱きかかえられるように横になっている。たぶん眠っている間に彼がごてんと横になったのだ。それに私も巻き込まれたのだ、と容易に推測できた。回されている腕を軽く叩くと、彼はんん、と喉をごろつかせるような声を出した。
 時計を見れば朝の5時。私は少し早いけれど家に帰れるほどの余裕は無いのでこのまま事務所に居るとして。彼は13時頃からお仕事なので、これから家に一度帰って仮眠を取るなり一息するなり出来るはずだ。
 彼を揺さぶるけれど思った通りの返事が返ってこない。んん、と唸るような声であったり寝息であったり。私はずっと浅い睡眠を繰り返していたけれど、彼はぐっすり眠っているようだ。
「一度家に帰って準備とか、あと今日もお仕事あるんですから仮眠とったほうがいいと思いますよ。みのりさん」
 彼の腕がぎゅっと締まる。彼の長い足が私の足に絡まる。まるで抱き枕だ。これが無意識のうちにされているんだったら彼の寝相も大概だ。つんつん、と彼の頬を突く。
「……みのりさん、起きてるでしょう」
「半分」
「今なら始発間に合いますよ」
「プロデューサーって温くていいよね」
「聞いてます?」
 更に腕が締まるので、私はひなびた蛙のような声を出すしかなくなる。寒いんだったら暖房を付ければ良いのか、と立ちあがろうとしても彼の腕に阻まれてしまうのだからどうしようもない。私は動くことを半ば諦めてため息を吐いた。そんな私を彼は良いことに、子供を寝かしつける母親のようにお腹のあたりをぽんぽん、と心地よい間隔で叩いて眠気を誘ってくる。
「こんなこと、他の人にしたら勘違いされますよ」
「プロデューサーは勘違いしないの?」
「Beit含めて、うちに所属してる方々、なんだか自分の子供のようにしか見えなくなってしまって……」
「じゃあ俺は手が掛かる31歳児ってところ?」
「そうなりますね」
 そっか、と彼がぼそりと呟く。





みのりさんは恋愛感情持ってるけど、対してプロデューサーはそれに気が付かないふりをしてる。アイドルと恋をしてしまったら自分が居られなくなるのを分かっているから。
このまま寝てしまってあとでからからかわれる二人。


category:sideM

ALICE+