++SS

▽2017/04/26(Wed)
DRAMATIC STARSで飲み
※ボツ


 無事に大成功を収めたリリースイベントが終わり、その後。ここ連日はボーカル、ダンスレッスンに加え撮影が立て込んでおり、それがかなり激務だったことから、終わったらお疲れ様会をしよう、と天道さんがぽつりと言い出したことがきっかけで、今ここに至る。チェーン店の居酒屋の個室。堂々としていれば中々にばれないもので、予約を事前にしていたこともあり、すんなりと入ることが出来た。
「今日はお疲れ様でした!」
 それぞれのグラスをかちゃん、と合わせる。お三方は生ビール。私と言えば、生ビール飲めなくて、とウーロンハイに見せかけた烏龍茶。こうでも嘘をつかないと、天道さんからお酒をぐいぐい勧められるのだ。それがいやというわけではないけれど、私は彼らのプロデューサーという体面、酔って意識を飛ばすわけにもいかないし、もし何か不祥事があったらそれに対処しなくてはならない。
「たくさんファンの方々来てましたね」
「ああ、だが次のライブまでに改善すべき点はいくつかあるな。まずサビの振りの……」
「おいおい! 今はとりあえず飲もうぜ!」
 ジョッキを半分ほど空けた天道さんが、なっ!、と隣の柏木さんの肩に寄りかかる。天道、と桜庭さんが刺すような声音を出すけれど、柏木さんのまあまあ反省は明日の朝にして今は飲みましょう、とその場はいったん収まる。
 二、三回グラスを交換すれば、それなりに出来上がった図が出来ていた。天道さんはご機嫌そうに話を振ってくるし、柏木さんはそれをにこにことした表情で眺めてくる。桜庭さんはいつも通りに見えるけれど、顔がほんのり赤くなっている気がする。
「プロデューサーは誰か好きなやつとか居ないのか?」
「何いきなり言ってくるんですか、天道さん!」
「酒の席と言えばこういう話だろー」
 いきなり天道さんがそんなことを言ってくるものだから、私は飲みかけのジンジャーエールが気管に入りそうになってごほごほと咳き込む。柏木さんも一緒になってオレも気になります、それ、と有無を言わせずに聞き出そうとしてくるのだから質が悪い。
「居ますよ」
「おっ、どんなやつなんだ?」
「優しくて、でも言うことはきちんと言ってくれて、絶対に折れないような太い芯が真ん中にあって、夢を追いかけて切磋琢磨してます」
「そのひとってオレたちが知ってます?」
「もちろん!」
「ヒント教えてくれ」
 柏木さんと天道さんの食いつきが妙に良い。私はえっと、と更に言葉を繋いでいく。
「童顔だからって顎に髭を生やしていて、とても食いしん坊で、あと眼鏡をかけている人です!」
「それってオレたちのことですか?」
「いや、嬉しいけどそういう好きじゃ無くてよ……」
「好きなのは本当なんですけどね」
 この話は終わりにしましょうよ、と私が言ったところで、今まで黙っていた桜庭さんがプロデューサー、と静かに言う。
「ところで、君は一滴もアルコールを飲んでいないようだな」
 向かいの彼らがえっ、と驚いたような顔をする。桜庭さんはにやりと笑う。いつの間にか彼が注文していたゆずサワーが私の目の前に置かれ、彼は私の目を見て彼がさあ吐け、と言った。
 



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