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▽2017/09/16(Sat)
伊瀬谷四季がモデル


 はい、こっちむいて。カシャッピピピピ、とカメラが連続でシャッターを切る。ボードが光を反射するように配置されている、典型的な撮影スタジオでの仕事だ。
 青年向けの洋服ブランドの撮影。普段四季が私服で良く着ているような、ちょっとやんちゃな感じのカジュアルなブランドじゃなくて、フォーマルな装いで展開しているブランド。ハイジョーカーの色である赤のインナーとシックな黒のジャケットとスラックスを身に纏った四季は、どうにも大人びていて、少し心臓に悪い。
 カメラに向けた顔も、いつものあどけない表情じゃなくて、なんだか一人の男という感じだ。
 ポーズ変えて、というかけ声と共に彼はくるくるとポーズや表情を変える。こうやって滑らかに変化させるというのは、頭の回転が速くなければ出来ないのだと過去に聞いたことがある。彼の学校の成績は奮わないようだけど、きちんと勉強をすれば点を取れるし、何だかんだ言って地頭が良いんだよなあ、とぼんやりと眺めた。
 それじゃあ休憩ね、衣装変えようか、とカメラマンさんが言った言葉に、彼の表情が華やいだ。こちらに駆け寄ってくる。

「プロデューサーちゃん! オレ、どうだったっすか!」

 それにすっごく良かったよ、と返すとやった!、と小さく彼がガッツポーズする。いつもと同じ、彼の表情だ。なんだかとても安心した。


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