++SS

▽2017/09/16(Sat)
冬美旬は構って欲しい


*年上プロデューサーと何年か後の彼

 譜面を見て何だか難しそうな顔をしていたので、テーブルからソファに移動。彼の邪魔にならないようにとテレビも消して、スマートフォンをいじりながらレシピ本をぱらぱらと捲る。
 彼が難しそうな顔をしている時は、大概、仕事のことだ。ダンスの振りのことであったり、役作りのことであったり、あとは曲を作っているときだったり。
 彼と付き合い始めて真っ先に思ったことは、仕事に対してもそうだけれどお付き合いに関しても真摯だし実直だなあ、ということだ。アイドルとプロデューサー、形は違えど、何かを生み出すという仕事をしている私たちは、私生活も普通の恋人達と少し違う。彼は仕事柄、家に仕事を持ってくる人だし、私もそうだ。だからそう言うときは、互いに邪魔をしないように配慮するのが暗黙のルールになっている。
 今日は鶏肉があるから、大根と一緒に甘辛く煮るのもいいかもしれないなあ、と付箋をぺたりと貼っていると、ソファが沈んだ。彼のにおいが隣からふわりと香る。あれ、確認は終わったのだろうか、とちらりと横目で見ると、以前譜面を持っている。

「……旬くん、ソファがいいなら私テーブルの方に、」
「だめです」

 ぴしゃりと止められる。彼の顔を見上げると、少し照れたように目を背けながら、あなたの隣がいいんです、とぽすんと肩に頭を乗せられる。耳まで真っ赤。こういうときに年下の、甘え下手な恋人はちょっとだけ狡いと思う。




category:sideM

ALICE+