++SS

▽2017/09/17(Sun)
天ケ瀬冬馬が男子高校生っぽくて安心する


 天ヶ瀬さんに初めて会ったとき、少し怖いなあというのが第一印象だった。何せ、この弱小プロダクションの中で既に芸能界デビューを経験しているユニットの一員だし、この業界のことは私よりもずっと詳しい。ひよっこプロデューサーの私としては、気の強い、言いたいことはずばずばと言うような彼に、出会った当初は脂汗が滲み出たものだった。方針とか段取りに物凄い難癖を付けられたり否定されたりしたらどうしよう、と。それも杞憂に終わったのだけど。
 実際の所彼は、私の意見に、自身の提案を交えながら一緒に新しいジュピターを作っていこうと粉骨砕身してくれた。私よりも年下、成人していない彼だけれど、やはり場数が違うのだ。私自身、こんなやり方があったのかと感服させられることもあり、大変勉強になった。ここ一年は手探り、そして協力し合いながらのアイドル業だった、と思う。

「コーヒーって匂いいいけど、苦いよな」

 俺無理、と舌先をべえっと出す彼の目の前には、ソフトクリームが乗ったデニッシュと、キャラメルココアの入ったマグカップ。
 仕事を終えてお昼時。次の仕事まで少し時間があるので、ご飯を食べにいきましょうか、と提案すると彼は二つ返事で了承した。どこで食べます?、と彼に尋ねた。先日、伊集院さんと御手洗さんと行った時は、イタリアンとラーメンでどっちにするか火花を散らしていたけど(結局ラーメンが勝った)、彼はどうなんだろうなあ、と思っていると小さな声で聞こえてきたのは、ファミレスに行きたいとの声。デザートが期間限定で、とそのあとにぼそりと付け足されたそれに、思わず顔がにやける。そうだ、彼は甘党なのだった。

「プロデューサーも一口食べるか?」
「天ヶ瀬さんが全部食べちゃってください」

 彼が律儀に手を合わせて、いただきますと言う。その一口で食べるにしてはやや大きすぎないか、と思われる分を切り分けて、ぱくりと口に含む。美味しいですか?、と尋ねれば目をきらきらとさせながら頷いた。こういうところが、男子高校生っぽいというか、年相応に思えて少し安心するし、可愛らしいなと思うのだ。





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