++SS

▽2017/09/18(Mon)
桜庭薫が吸血鬼

 酔いが回っている桜庭さんは可愛らしいことこの上ない。いつも鋭い眼光は今や見る影も無いほどぽやんとしている。真っ白は肌は桜色に色づいて、こちらが組み敷かれているというのに倒錯的な気持ちにさせる。そのくせ私を逃がさないように押さえつける力は男のそれで、なんだかそれに抗えないものを感じてどきどきする。
 私の名前を譫言のように呼びながら、口づけを落としていく。こめかみに瞼に、頬に。焦らすようにゆっくりとだ。ぷちりぷちりとワイシャツのボタンを外して、首筋にも口づけを落としていく。彼のさらさらとした髪の毛が当たってくすぐったい。それに我慢していると、桜庭さんが首筋にかぷりと噛みついた。ねとりと生ぬるい舌が丹念に首を吸う。ちう、とリップ音が響いて、鬱血痕隠せるかなあなんて他人事のように思っていると、突然歯が思いっきり食い込んだ。

「っ、桜庭、さん!」
「ん、」

 びくりと反応した私を押さえつけるように彼がかたく抱擁する。唇を噛んでその痛みに耐えていると、彼の気が済んだようで、そっと口が離される。唾液のせいでで首筋がすーすーした。 
 いったい何なのだと、彼を責めようとすると、満足げな目線が遣られる。確認のために指を伸ばすと、彼の歯形が指でなぞって分かるぐらいくっきりついていた。しかもギリギリワイシャツで隠れない所に、だ。
 絶対隠すな、と彼が低い声で囁いた。甘い痺れが脳に行き渡る。



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