++SS

▽2017/12/07(Thu)
山下次郎の膝の上


「次郎さんこれ流石に恥ずかしいんですけど」
「そう〜?」

 机の上には鍋。ぐつぐつと食材が煮立っている。今日は寄せ鍋らしい。彼特製の見た目からして美味しそうだ。そして彼と私と言ったら、対面で座るわけでもなく、横に並んで座っているわけでもない。私が彼の足の間にすぽっと入っている体勢である。正直大人になってまでこれとなると恥ずかしさの方が勝る。

「おじさんはいいと思うんだけどね〜」

 次郎さんは私の肩に顎を乗せて、鼻歌交じりに長い腕でもってお玉で鍋の中身をかき回している。彼の低い声が耳に直に聞こえてこそばゆい。
 そんな身構えないで、後ろに背中預けて良いんだよ?、と彼が言うので、私だけがこうなんというか、意識してしまうのもなんだか馬鹿らしいと思えてしまって、どん、と彼に体重をかけるとうわっと、と若干鍋のつゆが飛び散った。ちょっと〜、と彼が怒ったように声を上げるけれど、それもなあなあにお仕置き!、とぎゅっと私の腰回りを抱きしめて、悪い子はどうしてあげようかな、と耳元、彼の髭がじょり、と顔を撫でる。めちゃくちゃ良い声で言うものだから、今度は私がびくりとする番だった。


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