++SS

▽2017/12/31(Sun)
桜庭薫と読み合わせ


※途中。トゥインクルのP


 セリフの読み合わせに協力してほしい。彼の手に握られていたのは、今秋から放送するドラマの台本だ。彼の役どころは真面目だけれど少し抜けている部分がある、熱烈なアプローチをするヒロインの同僚役だ。私自身台本を全部読ませてもらって、何か事務所的にNGな部分が無いかを確認してからオーケーを出したのだけれど。この役どころが本当に桜庭さんに似合っていて、しかも原作が最高に胸がきゅんきゅんする少女漫画ということもあり、彼が演じる姿がテレビで放送されたら最低10回は見るぐらい私自身も待ち望んでいるドラマだ。
 私の協力が彼の演技の足しになるならば、と二つ返事で了承する。僕は既にセリフを覚えているから、君は台本を見て貰って構わない、と彼が私に台本を手渡した。
 ぱらぱらと台本を捲る。色々なところに付箋が貼ってあって、マーカーで線が引かれ、そして書き込みがされているのを見ると彼も役作りに本気になっているようだった。確か漫画も既刊は全て見たと言っていたし、このドラマの監督にもお会いしたと言っていたっけ。確かにこのドラマが成功すれば、彼自身もそしてドラスタも注目度が上がること間違いなしなので、その頑張りは頷ける。

「214ページからの主人公とのシーンなのだが、一人だと流石に想像しがたい」
「ふんふん、……ん?」

 大きく付箋が貼ってあるし、折りあとがしっかりついていたからすぐに開くことが出来た。そこを読み込む。
 飲み物を買いに席を立った主人公が、人気の少ない自動販売機前で自身の恋人が主人公の同じ課の友人にキスをしている場面を目撃してしまう。それに愕然としながら、内気な主人公はそれを指摘することもできずその場を立ち去る。下の階へと向かおうと歩を進めながら、ふと仕事での失敗や家族との軋轢、そして先ほどの恋人のことを思い返してしまい、涙ぐんでいるところに現れたのが桜庭さん演じる役の男性である。

「この部分は主人公の台詞は少ないから、君はそれっぽく居るだけでいい」
「いや、心の準備が、ちょっとまっ……」

 逃げ腰になったところを腕をがしりと掴まれる。そのままバランスを崩して、桜庭さんの胸にすっぽりと収まる形となった。心臓がばくばくと早鐘を打つ。桜庭めちゃくちゃ良いにおいする……。そんなことを考えながら、私は




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