++SS

▽2022/04/03(Sun)
ハッピーバースデートゥーミー!/twst



「#ナマエ#の誕生日って明後日?!」
「そうだよ。言ってなかったっけ?」
「言ってない! なんだよ〜、そんな一週間ぐらい前に言ってくれたら念入りに準備とか出来たのに」
「いいよいいよ。この歳になったら誕生日ってそこまで特別感無いし……。ちっちゃい頃はプレゼント貰えたりケーキ食べたりして楽しかったけど」
「そうか〜?」

 デュースが昼食を持ってくるのを待つ。
 私はオレンジジュースをじゅうっと吸った。つぶして作っているのか、口に入れるとぷちぷちした果実が舌の上で潰れる。最近のお気に入りだ。
 運動部かつ男子学生らしく多めにパスタを装ったデュースが帰ってくる。ココ、と手を挙げるとハッと気がついた彼がいそいそと駆け寄ってくる。生徒がにぎわうお昼時に食堂の席を見繕うのは至難の業だ。こうやって私たちが座れているのもエースの人波を避けてちゃっかり席を見つけてこれる謎の能力の賜物である。

「#ナマエ#の誕生日明後日なんだってさ」
「それは本当か?!」
「本当本当」
「なんで早く言ってくれないんだ! プレゼント何も用意してないぞ?!」

 デュースも目をまん丸にして驚いた。ハーツラビュルは寮生の誕生日を総出で祝う風習があるし、誕生日は特別なのだろう。

「プレゼントはツナ缶でいいんダゾ!」
「それはグリムが欲しいものじゃん。いいよいいよお気になさらず。この歳になると誕生日に特別感も無いし」

 今日のお昼はきのこのリゾットと温野菜だ。盛りは男子校生よろしく景気が良いので、お皿を貰うときに少なめ、もっと少なく!と言わなければお腹に穴があきそうになる。

「#ナマエ#ってドライだよな」
「そうかな?」

 オレらくらいの歳ってもっとはっちゃけてるもんだと思うけなあ、と続けてエースが言う。ま民族性かな、と返答すると#ナマエ#が居た場所こええわ、とエースがぼやいた。

「おめでとう、って言われるだけで充分うれしいよ。覚えてたらでいいから朝会ったときに言って欲しいな」









セベク


 バンバンバン、とオンボロ寮の玄関が割れんばかりに音を立てる。グリムはこんなにうるさいのにぐーすか寝息を立てて眠っている。将来は相当な大物になるだろう。こんな朝っぱらからマジかよ、と思いながら寝ぼけ眼に玄関に向かう。

「おい人間! そこに居るだろう?! 開けろ!」
「声デカ」
「おい! 無視するな!」
「ちゃんと出ます〜」

 こちとら今さっき起きたばっかなんですけど。こんな朝から起きるのもそうそうない。VDCでワークアウトに付き合わせられた時ぶりである。今日もふつうに授業なのに大迷惑野郎だな、と思いながら渋々とドアを開ける。

「ハッピーバースデー!」
「耳壊れる!」

 すでに制服に着替えていつも通り髪の毛をセットしたセベクが、目でも潰してくるのではないかという勢いで花束を差し出してきた。
 花に最も縁が無さそうな男なのにどうした、と動揺する。
 黙ったままの私に不安を覚えたのか、彼が声のボリュームを落として疑問を投げかける。

「#ナマエ#の誕生日は今日では無かったか?」
「え、いや今日だよ。ありがとう」
「反応が薄くないか? 花は嫌いか?」
「嫌いじゃないよ! 好きだよ!」
「いや、なら良かった……」
「セベクが花なんてくれると思わなくてびっくりしたのと、朝からこんなお祝いして貰えると思わなくて、びっくりしたというか……」
「リリア様が言ったんだ。女性に贈るには花が間違いない、と。特別なことは無くていいと#ナマエ#は言っていたが、誕生日はプレゼントを貰って、美味しいものを食べて、多くの人から祝福されるべきことだと思う」
「」


 


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