++SS

▽2022/09/11(Sun)
生き写し/ドラスタ、クラファ


 事務所の扉を開けるとプロデューサーの面影を感じる子供が居た。
 まさか事務所に小さな子供が、しかもプロデューサーに似ている子供がいると思わず固まってしまう。
 プロデューサーに子供が居るとは聞いたことがない。というより結婚していただなんて聞いたことがない。まさかプロデューサーの隠し子という考えが思い浮かんだ。輝自身は一人っ子であるし子供と言ったら親戚の集まりで会う子供ぐらいしか記憶がないが、よちよちと歩く姿や意味のある単語を発していることから、見たところ年齢は1歳半から2歳ほどだろう。こんなに大きくなるまで誰の助けも借りずここまで一人で育てていたなんてなんて水くさいことをするのか。プロデューサーという多忙な仕事をしながらここまで育てあげるのは大変だったろうと涙ぐんでしまう。ここまでの思考の所要時間は10秒ほどである。
 幼児は天道を見て、持っていたぬいぐるみをいじるのをピタッとやめた。そしていくらかの沈黙のあと、てうくん!と大きな声を発する。

「え、天道さんですか?!」
「まあま、てうくん!」

 まあま、というその子供の発言から天道はこの子供の母親がプロデューサーであるということを確信する。

「プロデューサー、一人で子育てするのって大変だろ? 俺たちの仲じゃねえか。水くさいことせずにこれからは困ったときは俺たちを頼って……」
「天道さん。私の子じゃないです」
「今まあまって言ったよな?」
「いとこの子です。すごく似てるんです。いとこと私」

 なんだよ、と天道が胸をなで下ろす。
 よくよく話を聞くと、この子が保育園から貰ってきた風邪で夫婦もろともダウンしたらしく、プロデューサーが預かる運びとなったらしい。病児保育も予約が取れず、親も離れた場所に居るので頼りに出来ず、白羽の矢がプロデューサーに立ったとのことだった。その夫婦については子供を預かるついでに病院に送ってきたとのことだ。

「社長には了解取って連れて来たんですけど、小さい子供いると全然仕事ならないものですね……」
「昔は一、二回は片方の親が病気で動けなくなって保育園にも預けられなくてもう片方の親が職場に連れてくるってあったよな」
「あ〜、私も一回だけ父の職場に居たことありますね」


「私も忙しくてご飯食べられない時とか、風邪引いた時にいとこに助けて貰っているので、お互い様というか……」




「……誰との子供?」
「百々人先輩顔怖いですよ」

 


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