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▽2023/07/02(Sun)
見極める/薬研藤四郎


 祖母が死んだ。86歳の大往生で、床に伏せることなく最期まで元気な人だった。昨日の朝寝室で眠るように亡くなっているのを発見されたのだと言う。和室の寝室に寝かせられた祖母の顔には白い布が被されていた。水を上げてからその白い布を外すと穏やかな表情で眠っている祖母が居た。医師が言うには、全く苦しむことなくお亡くなりになったのでしょうと。腕を前に組まれている。祖母の胸には一振りの短刀があった。火葬をするまでの間、抜け殻となった体に良くないものが取り憑かないようにと守り刀が胸に置かれるのだ。
 #名前#〜、そう私を母が呼ぶ声がしてはあいと返事をする。穏やかに眠る祖母の顔に白い布をかけて、その場を離れる。祖母の脇には黒い軍服のような服を着た黒髪の美しい男の子が見守るように佇んでいるけれど、いったい何なのだろうか。




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 生前の祖母は色々な人に慕われていたらしい。様々な人が入れ替わり立ち替わりにくるけれど、誰一人その脇にいる彼のことは一切触れなかった。おそらく見えていないのだ。私にだけ見える、昔からそうだった。変なものがよく見えるのだ。人ならざるものが。
 



category:刀剣

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