予感

「今日は来るな」
 ぽつりと出たひとことにふと疑問を持った。
 どうしてそういう確信が持てるのだろう。あいつはふらりと現れてはいつの間にか消えている。まるで懐いた野良猫のようである。
 そんなあいつが来る時は決まって『予感』がするのであった。首筋をそっと撫でられたようなかすかな感触の『予感』。
 この感覚がおれは嫌いではなかった。
 独りでいるのも嫌ではないが、やはり誰かがいるという感覚が好きだ。と言っても、独りの時間というのはあまり少なく、店を開ける前からシンコさんが呑んだくれていることの方が多い。だから寂しいという気持ちはあまりないのだ。
 首筋にまたそっと誰かが触れた気がした。
 ——来る。
 箒を仕舞った瞬間、扉に付けられているカウベルが、やはり予感通りの来客を告げた。



>> list <<