その依頼主との会話が相当楽しかったのだろう——187の口は止まりそうにない。俺は妙に苛立って……気づいた時には187の口元あたりを手で抑えつけていた。
「セロくん……?」
実際抑えてるわけではなかったので、187は澱むことなく俺の名を呼んだ。その声で、俺は自分が何をしているか理解した。
「……うるさい」
俺は一言そうこぼすと、手を離した。
「ご、ごめん……ちょっと調子乗った」
187は悄気たように仮面の耳部分を垂れ下げた。——187は何も悪くないのに。
俺はこの胸のピリつきがなんなのかわからないまま、目の前のグラスを磨き続けた。
終