はじまり

 俺にとっての人生のはじまりはクソだった。
 産まれ落ちたときから意識があった俺が最初に見たものは、下水道の中で這い回るネズミだ。次に見たのは雑誌の中の少年だった。金髪で強い眼差しをたたえた少年。
 俺はその少年の真似をしようと考えたら、なんと俺は少年に身体の形が変わっていた。なんとか身体の形を保てた俺は、下水道の中から出ることを決めた。幼いながらにして良い判断だったと今でも思う。
 ネズミに齧られながら、出来たばかりの身体に鞭打って出口を探す。ようやく見えた明かりが、なんとも俺には眩しかった。
 その明かりに辿り着いた俺の目の前に現れたのは、尖った歯を見せてニヤニヤと笑っているオールバックの男だった。
「やあ、187くん」
 ——187。イバナ。
 男は確かに俺をそう呼んだのだ。初対面の俺を。名もなき俺のことを。
「私はアドルフ。君を探していたんだ」
 低い声の男はそういうと俺の手を取った。
 
 アドルフとの出会いが、俺の運命を変えていくとは、この時の俺はまだ知らない……。
 


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