草臥れてガスマスクを外した状態で眠っている愛しのきみ。俺は起こさないよう念入りに気配を消してその寝顔に見入っていた。
相変わらず顔がいい。これを言った日には、店を出禁になるほどセロくんは激昂する。それほど己の顔が嫌いなのである。俺は大好きなんだけど——。
「……187……」
——えっ。
驚いて声を出しそうになったところを慌てて塞ぐ。いま、名前を呼んだ——?
「……187……」
もう一度——呼んだ。今日俺は死ぬのか。
しあわせすぎてどうにかなってしまいそうだった。セロくんの潜在意識に俺がいる! なんてことだ! ああ神様、どうかもう一度セロくんが俺の名を呼びますように。
「……勝手にシチュー、くう、な……」
その願いも虚しく、夢の中の俺はセロくんのシチューを勝手に食べているようである。どうせならカレーを食べてくれ。
もう一度呼ばれたかったけれど、今度またこんな機会が巡ってきたら……待ってみよう。
終