自慢の髪


 

六年生のくのたま、なまえはくのたまの間でも有名な綺麗な黒髪の持ち主だった。忍たまの立花仙蔵が認めるほどなのだが、本人は特にこれといった手入れをしてるわけではなく、親からの遺伝らしい。


「あなたの容姿をいかした実習よ」


ある日、シナから呼び止められたなまえは初めにそう言われた。容姿を活かすと聞いてすぐに思い付いたのが色の術を使う実習だったので顔を歪めるなまえ。それに気づいたシナは、なまえの綺麗な髪を撫でて言った。


「あなたの綺麗な髪を活かすのよ」
















なまえに与えられた実習内容は、髪結いに興味のある御洒落好きのシャレタケ城に潜入することだった。どうやら城内に裏切り者がいるらしく、それを確かめてほしいと学園長に連絡が入ったらしい。詳しい内容を聞くためになまえが学園長先生の部屋にいくと、紫の制服を着た金髪の忍たまがいた。
その愛くるしい顔立ちと温厚な雰囲気でくのたまに人気のある、元髪結いの斉藤タカ丸だ。


「あ、なまえちゃん」
「こんにちはタカ丸くん」


聞きしに勝る癒しだ。笑顔で名前を呼ばれて嬉しくないわけがなく、なまえは嬉しさを隠してタカ丸の横に座った。


「学園長先生、ご説明をお願いします。」
「うむ、説明をしよう。山本シナ先生から聞いていると思うが、御洒落好きなシャレタケ城内に裏切り者がいるらしいのじゃ。それをみょうじくん、確かめてくるのが内容じゃ」
「それでは、斉藤タカ丸はなぜここにいるのです?」
「それはだな、」


ハッキリいって、くのたまなのに特に髪の手入れをしないというなまえは、周りのくのたまに比べて女子力というものが皆無に近かった。もちろん礼儀作法は授業でならっているが、普段からの身だしなみにこれといって手を加えてる様子がなく、せっかくの綺麗な髪が台無しだという(タカ丸談)。


「タカ丸くん、あなたね…」
「や、話は最後まで聞こうよなまえちゃん!?」


横目でにらむと汗をかきながら弁解するタカ丸。学園長先生が咳払いをしたので、なまえは顔を繕って学園長を見る。


「どうやら裏切り者は髪結いの中にいるらしいんじゃ。本当は斉藤タカ丸を向かわせた方が自然だろうが、この通り実力はまだまだじゃしのう…」
「そこで、女子力が低くても潜りこんんでやりのけそうな私にまわってきたというわけですね?」


嫌味っぽくいうと学園長先生はその部分には触れずに苦笑いをして、「そこで!」とタカ丸をビシッと指差す。


「斉藤くん、君はみょうじくんの髪を結って任務に送り出してほしいのじゃ!」
「は〜い」
「え、えええ!?」


それだけのためにこいつは呼ばれたのか、と思わずなまえは立ち上がって声をあげる。しかしタカ丸はにこりと笑って快く了解した。たしかにタカ丸の髪結いとしての実力はたしかだ、と冷静に考え直し、その場に座りなおす。


「わかりました、その実習承ります。」
「うむ!助かるぞ!」
「僕がなまえちゃんを女の子にしてあげるね」
「っはいはい!!」


不覚にもタカ丸の笑顔にきゅんとしてしまったなまえ。
その後、タカ丸に髪を結ってもらい、化粧を仙蔵にやってもらってからシャレタケ城に向かったなまえだが、頬が赤かったので仙蔵は最初不思議に思いながら化粧を施していったという。

ちなみに実習は成功、裏切り者の髪結いは見事になまえにひっかかり、あっさりと城を追い出されたそうだ。


「私の髪をべたべた触ってきた罰が当たったのよ」
「えー?!その裏切り者、そんなになまえちゃんの髪に触ったの?!ねえ、触ってきたの?!」
「馬鹿みたいに絡んでくるからうざったかった」
「うう…なまえちゃん髪結わせて!」
「なんでそうなる!」


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mokuji / clegateau