鈍感少年


 

「守!」

「お、なまえ!」


私は、守がいつも練習をする場所に来た。
ロープでタイヤを木にくくりつけ、それを押しては返ってきたタイヤをキャッチする。
ずっと守がやってきた特訓だ。亡くなったおじいさんの必殺技のノートを見ながらひたすら守はここで特訓をしてきた。血の滲む努力をし、守は今まで多くの必殺技を編み出してきた。

その守の特訓に私もたびたび付き合う。サッカーの上手くない私がへなちょこなボールを蹴るのだ。へなちょこなわりに、ボールは変な方向へと転がっていく。
その軌道は蹴る本人の私にも予測できない。それは私が悪いんだけれど。

でも、だんだん守のアドバイスのおかげで私も大分サッカーができるようになった。

今日は、ある事を伝える為にここに来た。


「あのね守、」

「ん?」

「私ね、サッカーが大好きになったの。だから、私もサッカー部に入りたい!」

「本当か!?」


押したタイヤなんかほったからしにして、守は私の両手を掴んだ。そして上下にぶんぶんとふり、守はすごく嬉しそうに笑った。


「よかった!俺さ、サッカー大好きだ!
だから、大好きななまえがサッカー好きになってくれてすごくうれしいよ!」

「だっ…?!」

「うん?」



鈍感少年
(あれ?なんでなまえ顔赤くなってんだ?)


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mokuji / clegateau