日番谷冬獅郎


 


「なまえ、なまえはどこだ!!」
「なんですか隊長!声大きくて耳痛いですよっ!」


十番隊第三席のみょうじなまえは日番谷の声に耳をおさえながら執務室に入り、いつもより怖い顔の上司を見て身を小さくする。
日番谷の手には書類の束があった。それは昼間乱菊の代わりになまえがやった書類だ。


「あの量を熟したのは褒めるが…こんなにミスがあった」
「…はい…」


書類の総数は100枚あっただろうか。乱菊が酔った勢いで昨晩引き受けてしまった、至急提出の書類でなまえが任されたのだが、急いだために20枚にミスがあったらしい。


「最初の頃に比べればミスは減ったが…」
「……?」


いつものお説教の嵐がなかなかこず、黙り込んだ日番谷に思わず顔を上げると、日番谷は少々困ったように言った。


「…俺が任せたとはいえ、やりきれないと思ったらすぐ俺に言え。半分くらい俺が手伝えば、ミスはなかったろ…」
「え、あ…」
「…次からは、少し無理を感じたら頼れと言ってるんだ」
「は、はい!」


さっそくだが、これを六番隊に届けてくれ
と日番谷に別の書類を渡されたなまえは、何故急に日番谷が頼れと言ってきたのか意味がわからないようで不思議そうに返事をし、日番谷をちらりと見てから執務室を出た。


「………たいっちょー、聞いてましたよお」
「…気づいているに決まってるだろう」


なまえが去り静まった執務室の奥、給湯室に繋がる通路に隠れていた乱菊がひょこりと現れる。


「隊長、なまえに与える仕事の量を減らしても一定の割合であの子はミスしますよ?どこかぬけてるコだし」
「いいんだ、あれで。俺が手伝えば…」
「一緒にいられるから、ですか?」
「うるせぇ!!…ミスした時その場で直せるからに決まってるだろ」


なまえのやった書類を後から全部確認する俺の気持ちになれ、という日番谷にまぁ頑張ってください、と他人事のように言った乱菊にいつもの説教が始まる。だいたいお前が書類を溜め込まずちゃんとやっていればいいのだのなんだのと。
それをこっそりと聞いていたなまえは、いつも通りの隊長でよかったと安心し、六番隊に書類を届けに行くのであった。


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mokuji / clegateau