気持ちを信じて


 

※現パロ 学パロ


「ねえ、冬獅郎」
「なんだ」


冬獅郎の部屋宿題をするなまえが、視線をノートから離さないまま声をかけた。
視線を感じなかった冬獅郎もまた、ペンを動かしながら答えて見せる。


「どうして私と付き合うことにしたの?」
「、」


ポキ、とシャーペンの芯が折れる。
冬獅郎となまえが恋仲になってから、3ヶ月は経とうとしていた。
モテ男である冬獅郎、本人に自覚はなくまた告白してくる勇気ある男も少ないが実際はモテているなまえ。
その二人が交際を始めたとなれば、学校中に知れ渡り噂となるのは当たり前のことだった。一大カップルの誕生なのだ。
だがなまえ本人は自分は普通だと思っている。それで生まれた疑問なのだろうが、冬獅郎からすれば「なぜそんなことを」と驚くしかなかった。


「…なんでそんなことを聞く」
「だって…冬獅郎、モテるじゃない?」


そもそも、去年私から告白した時、フったじゃん。

なまえがサラサラとシャーペンを動かすのに対し、冬獅郎は芯を折ったまま固まっていた。
よほどなまえの問いかけに動揺したのだろうか。
しばらく、なまえのペン先を見つめた後に、親指でプッシュして新しい芯を出した。


「そんなの、お前の事が好きだからに決まってるだろ」
「この一年、私は片思いしながらも、冬獅郎の負担にならないように友達として接してきたんだよ?その中で好きになってくれたってこと?」
「それもあるが…」
「それ"も"?ねえ、他には?」


手元に影ができたことで冬獅郎が顔を上げる。先程まで穏やかに宿題をこなしていたなまえが、ほんのり顔を赤め、少し不貞腐れているような顔で身体を前に乗り出し、冬獅郎を見つめていた。


「先輩とか、隣のクラスのめちゃくちゃ可愛いあの子とか…色々な子がいたのに、どうして、私を選んでくれたの?」


なまえの大きな瞳が揺れた。その中には冬獅郎だけがうつっている。


「選んだんじゃなくて、好きになったから俺から告白したんだよ。」
「この一年の間に?」
「そうだ。後は…俺のことをずっと想っていてくれたのが、なまえだけだったから」


冬獅郎は幼い頃からモテていた。
しかし幼稚園や小学生の恋愛など、周りに同調したような、流行りにのったような感情も混ざっている。
たくさんの特別な好意を向けられることは、嬉しさもあるが、鬱陶しさも感じるようになっていた。
流行り物に飛びつくような、見た目だけを見ているような。


「本当の意味で俺のことを好きなやつって、いないと思ってたんだ」
「そんなこと…」
「信じられるのはなまえの気持ちだけだった。だからなまえなんだよ」


少し照れ臭そうに笑う冬獅郎。
なまえは安心したように笑った。


「これからも、ずっと信じていて」
「当たり前だ。だからなまえも、俺のことを信じろよ」


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昔お付き合いしていた人がモデルです。
私はモテていませんが、相手の人がモテモテで、こんなことを言ってました。


mokuji / clegateau