君がいれば治るから


 

「おーい、一哉ー?」


ピンポーン

本日3回目のプッシュ。今日は一哉の為にお菓子を作ってきたのだけれど、さっきから返事がない。

倒れてたりしたら、どうしよう…そう思いながら、ドアの取っ手に手をかけ、ゆっくりと下に押し、ドアを前に引いた。


「…お、お邪魔します…?」


なんと鍵が開きっぱなしだったのだ。靴を見れば一哉のだけ。両親はいないみたい(二人とも共働きみたい)だから、迷惑は…かからないよね、一哉にしか。
靴をそっと脱ぎ、玄関からすぐ近くにある一哉の部屋に近づく。ドアが少しだけ開いていた。そっとドアを開けてみると、そこには一哉が顔を真っ赤にして寝ている姿があった。


「か、一哉!?」

「あー…なまえ…やぁ…!」


弱々しく「俺だよポーズ」をする一哉を見ると、なんだか情けなくなってきた。私は一哉に駆け寄ると、額に触れ熱の具合を見た。微熱程度みたいで、数日で治るらしいと一哉が言う。それに私はほっと胸を撫で下ろすと、一哉を見た。


「一哉、お粥作ろうか?」

「ん…いいや、食欲あんまりない…」

「そっかぁ…」



お粥がダメなら、お菓子なんて高カロリーなもの無理だよなぁ…
私はとっさに紙袋を自分の背中で隠した。


「…あ、でも」

「…!うわっ!!」


ぐい、と腕を引っ張られ、一哉の横に添い寝する形になる。近くで一哉の顔を見ると、やっぱり恥ずかしくて私は顔を背けた。


「なまえが側にいてくれるなら、早く治るかな。」

「……ずるいよ、全く…」


回された手を静かにとると、私たちはキスをした。




(みょうじさんは熱で欠席です)
((今度は俺が看病しに行かなくちゃね))



End




mokuji / clegateau