恋の駆け引き


 

一ノ瀬→なまえ→土門
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「なまえ、もし俺が英語のテスト勝ったらさ、土門と手繋いでよ」
「はぁ!?」


無理無理!と首を横にふるなまえに、一之瀬はニヤリと笑った。
苦手な英語で、一之瀬に勝てるわけないでしょ、となまえが言っても、もう決まったじゃんと受け流されてしまう。


「はぁ…こういうのはさ、テストやる前に言ってよ!分かってたら頑張ったのになぁ…
もうテスト終わっちゃったし…」


今回もバツばかりついたマルの少ない答案用紙を返されるに違いない…なまえは大きなため息をつき、一之瀬を軽く睨み付けた。


「私の負け確定だしっ」
「でも、俺が勝ってもなまえは損しないじゃん。むしろ得するんだから、よくない?
だってなまえは土門の事が好…」
「わああぁぁ!!!」


ずっと秘めていた想いを、教室で暴露されそうになったなまえは、一之瀬の声を掻き消すように叫んだ。
肩で息をするなまえ。すると、チャイムがなった。



「では、テスト返します。一之瀬くん」


一之瀬は、次の授業が英語だと分かっていたのか、テストを受け取るとニヤリと笑い、なまえを見てきた。
勝利を確信した笑みに、なまえが頬を膨らませる。


「みょうじさん、みょうじさん!」
「はぁい!」


名前を呼ばれている事にも気付かず。
それを見て、また一之瀬が笑った。




「…で、何点?」
「………85点」
「俺は100点」


100 とかかれたテストを見せられる。だいたい、100点に勝つってどうすればいいのよ、となまえは反抗しながら、頬を赤らめた。


「じゃ、約束通り手繋いでもらわないと!」
「え、あ、それは明日にして!お願い!」
「…分かった、じゃあ明日ね」


そう言うと、一之瀬は何故か悲しそうな表情を浮かべ、鞄を持って教室を出てしまった。









「…馬鹿だなぁ、俺」


なんで、土門の事を、なまえは好きなんだろう。
なんで、俺はなまえを応援しているんだろう。

4つ折りにされたテスト用紙を開く。100、と書かれた数字に、一之瀬は眉をひそめた。


「わざと、間違えればよかったかなぁ…」


でも成績悪くなるのは嫌だし。
一之瀬はそう言うと、テスト用紙を乱雑に丸め、自動販売機の横にあるごみ箱に捨てた。



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一之瀬の、片思い。



mokuji / clegateau