助からない


「っあぁ!」


ゆっくりと体に埋め込まれた玩具に声が漏れる。
奥に当たったところでその動きは止まった。
身体の自由は効かないのだから、蠢く体内の異物に抗う術はない。
体の中心を貫くソレは、脈打つ中で存在感を放つ。
自分の体が反応していることに、
ぼんやりとした意識の中で気がついた。
電源を入れることなく、玩具を掴んだ腕によって弄ばれる。
私はそのまま声を荒げるしかなかった。


「う…あっ、あ、っっ!!」


圧迫感のあるそれをゆっくり動かされる。
ゆっくりとしたスラストと共に、自分の体がそれに反応する。
敏感に反応してしまう体にはもう慣れてしまった。
ただ素直に気持ちよくなってしまう自分には、何も止められない。
でもやめてほしい、おかしくなりそうな気持ち良さが襲ってくる。
頭をふってやり過ごそうとする。
溢れてしまっている涙は止まらない。


「はは、腰動いてるぞ。」


逃げるように男から離れていた最初に比べ、確かに対抗できなくなりつつある。
笑った男の声が余計に私を煽る。
なぜだかわからないが、自分の思っているように体が動かず、弄ばれるのに慣れたのはいつからだろうか。
それさえも覚えてはいない。
腰を動かしているつもりはない。
ただ、逃げようと少し前に出てしまうとそれを押し潰すかのように深く差し込む腕に、体はひどく反応し、硬直し、全く動かなくなってしまう。
その男の言葉さえも、今は煽り材料に他ならない。


「あ、あ、やっ、…め…っ!」

「そんなに逃げなくてもいいよねぇ?」

「いやあぁっ!っっ!あ、あああああああああああ!!!!!」


子宮口に当たってる。
グリグリと奥にねじ込んだ瞬間だった。
無理矢理学ばされた知識が一瞬脳裏を過る。
イってる。
イってる。
これはイってるんだ。
痙攣した足が、無様に揺れる。


「あ、ぁぁ、……………っっ!!!!!!」

「ようやくポルチオで感じるまで成長したね、偉いよマリンちゃん。」

「……っっぁ、っ!!……」


奥が、奥が。
熱い、圧迫感も、頭がぼんやり、なにもかも、ぼんやりする。
おかしくなる、だめだ。
だめだ、気持ちがいい。
視界が白くなる、なにをどうすればいいんだっけ。
視界で何かが弾けたような刺激が、ずっと続いている。


「腹筋も鍛えておいてよかったなぁ、締め付けも問題ないね。」

「…ふ、……は、…っあ……」

その言葉で、
ゆっくり動きが収まった。
ようやく、終わった。
長いこと締め付けていた筋肉が、少しずつ緩んでいく。
心臓の音が聞こえる。
どくどくと速い音が体の中から耳に伝わってくる。
おかしい、ふわふわする。

呼吸が止まる。
視界に色がつく。
少しずつ目の前の景色が見えるようになった。
まだ頭がぼーっとするが、気持ち良さの余韻が身体の奥から響く。
景色を見ているはずなのにその景色がしばらくは見えてこなかった。
頭の奥からジーンとした痺れのような気持ち良さが、私の体を支配していた。



そこは見慣れた部屋だった。
残念なことに見慣れてしまった。
自分がよく過ごす部屋だが、なんとも薄暗く落ち着かない部屋だった。
考えることなく、当たり前になりつつあるこの行為を行う、寂れた酷く居心地の悪い場所だった。
ここでひたすらこんなことをされている。
一日置きに、この男に。
この男、正式に名前を聞いたわけではないが、「リモ」と言う。
どこかの会社に所属する上層部に位置するらしく、直属の部下が8人ほどいるらしい。
その中には医者がいて、何度か整形手術のようなことをさせられた。
胸を大きくしたり小さくしたり、処女膜を作り直したりと、人間をなんだと思っているんだろうと思うような非道なことをされてきた。

そのリモが、今日はにこやかに笑っている。
不気味だった。


「さて、君と僕が二人でこうして戯れるのはしばらくお預けだ」

「っ!もう、無理っ!…ああああっ!」


痙攣がようやく治ったのに、再び中の異物を動かされる。
にこやかな笑顔には残虐性が滲んでいた。
ただ腕で動かされるだけではなく、電源ボタンも入れられたらしい。
激しい振動が体の奥をまた動かし始めてしまった。


「あああっ、っんあ!あ、やっああ!!」

「最後に、潮吹いて終わるか。商品化記念だ。」


今までより乱暴になる中の玩具は、ゆっくりとした優しい動きから、容赦無い攻めに転じた。
先程と少し違った場所も同時に攻められる。
やめて、やめて。


「やだあ!もうイきたくない!イきたくないっ!!待っ、ああああああ!!もうやめっっ、ーーっぁ!!」


どんどん上り詰める。
やめてほしいのに、止まらない。
先程奥でイったばかりだから、ガツガツと打ち付ける動きと、中をぐちゃぐちゃに擦れる気持ち良さと、先ほどとは違う場所の別の突起を弄られてしまう刺激で目眩がしそうだった。
ひどく敏感な場所に振動が当てられるのは耐えられない。
口は閉まらず、涎と涙が溢れる。
奥は締め付け始める。
容赦なく弄ばれる。
しかし、痛みはない。
だがとても苦しい。


「いやだいやだあああああ!!助け、て!!!たすけてっっ、あああああああああああああああ!!!」

「君はこれからの稼ぎ頭だから、頑張ってね。プレゼントのボールギャグも用意したし、営業マンもつけるから、安心していいよ。」

「いやああああああああああああ!!!」


絶頂と同時に漏らしたような感覚。
でも何度か経験したこれは、想像したそれではない。
無色無臭透明な液体。


「ああ、本当によくできたね」

「あ…あ…あ、っはぁ……」


嬉しさに笑うリモは、こんなことをするにも関わらず、一切自身のそれを入れては来なかった。


(「君と初めては、もう決まっているんだよ」)


以前そう言われたあの時がついに来てしまったのか。


私は商品化される。
この檻のある部屋から出られると同時に、商品としてこの体を売ることになることは容易に想像できた。


「はぁ、…っはぁ…」

「明後日から、楽しみにしてるよ。マリンちゃん」


その男はすぐさま玩具を抜き取る。


「ああっっ!」


少しの刺激でさえ、気持ち良い刺激に変わってしまう。
このまますぐにシャワーを浴びたらそれすら感じ取ってしまうだろう。
とんでもない体になってしまった。

トレーに弄んだそれらを置き、すぐさま立ち去る。
最後に一言こう残して。


「どんなに苦しくても、何度も生き返らさてあげるから、安心しなね。」



私には死すら選択肢として用意されてなかった。





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