OCSSimgぽけっと


Arcturus

ベイの命名について

「タカオや大地たちはベイブレードと聖獣の名前が違うのにレイラはどっちもWスネグーラチカWなのね」

あ、でもBEGAもおんなじか!そう言って一人納得しているヒロミを尻目にボクは手の中のスネグラーチカを見つめた。

透き通るような青を基調とした本体に、ビッドの中心には人造聖獣のスネグーラチカの姿が刻印されている。
閉鎖された修道院に眠っていた忌まわしき技術を応用して造った…人型の聖獣・スネグラーチカー。

実際は雪の妖精のスネグラーチカを聖獣として造るなんて事は出来るわけもなく、ここに宿っているのは「スネグラーチカを模した何か」なのだが…。

「ベイの名前、か…考えてもいいかもしれないな」
「え、いいじゃない!どんなのにするの?!」

ボクの手の中のベイブレードを覗き込みながらそわそわとし出したヒロミと顎に指を当てて考えたが、全くしっくりとは来ないのだった。



「と、言うことがあったのだよ」
「へーー、はぁ、… え?」

ホームステイをさせてもらっているお屋敷のテラス…まぁ、居候中のタカオの家の縁側で並んで座り就寝前の団欒でポロリとこぼした言葉に彼はまん丸の赤茶の瞳をパチパチとさせて首を傾げた。
帽子のない頭の跳ねた毛がふわふわと揺れて可愛らしい。

「安直にスノウとか日本語で雪のYUKIとか可愛いな、って思ったけど、その名前ならスネグラーチカのままで構わないしなぁ…」
「おう、そうだな、いや、そうじゃなくてさ、いや、なんつーか、…」
「今更?」
「…うん、」

言いにくそうに頷くタカオにくすくすとした微笑みが漏れてしまう。
彼の一挙一動は純粋で無邪気で真っ白な雪のようでありながら常にその瞳の世界は真っ直ぐ彩られた世界を輪郭付けている少年のそれで、ボクは彼の隣にいるだけで自分も同じような生き物になった錯覚に陥る。

「ふふ、だってね、今まで普通だと思ってたから、ヒロミに改めて言われて考えちゃったんだ、
スネグラーチカも、スネグラーチカとベイブレードを別にしてあげたほうが喜ぶのかな?って」
「なるほどな!でも、無理に考えるよりなんつーかさ、レイローチカがコイツに一番ピッタリだ!って名前をつけてあげればいいんだよ」

ボクの手のヒラの中のベイを覗き込むように身を乗り出し、必然的に近くなるボクとの距離にどちらともなく顔を見合わせてなんとなく気恥ずかしくなってしまいクスッと笑みが溢れる。

「イチバン、ピッタリな名前か…」


「Spicaかな…」
「すぴか?なんか聞いたことはあるな…」

赤くなった頬をかくタカオにうんうん、と頷く。

「白く輝く星のことだよ、」

このベイが回転する様は青いウィングの真ん中、ビットの周辺が白く縁取られ、青白い一等星が瞬く様に見える…ボクをタカオの元に導く星…。



「スピカのことをね、W青龍のツノWって呼ぶ国もあるらしいよ」

耳に手を当ててこっそりと言った言葉に彼はまた目をまん丸にする。
コロコロと変わる彼が面白くて、まるで星が瞬く様に眩しくて、キミはどうしたら輝くかと考えてしまうんだ。

「まるでキミとドラグーンとボクらが一つになった様ではないか」

彼の顔は赤色巨星の様に色鮮やかになっていた。

(スネグラーチカがスピカなら、青龍はアルクトゥルスだね)

なんとなく、スネグラーチカが喜んでいる気がする。



【サイト内の全コンテンツの複製・転載を禁止しています】
【Don't Repost & Don't Copy my Home Page.】



ぽけっと


【サイト内の全コンテンツの複製・転載を禁止しています】
【Don't Repost & Don't Copy my Home Page.】




ALICE+