独占したいんだ、全部
大体名前が神妙な顔で座っている時っていうのは、よからぬことを考えている時だってわかっているんだよ。
放課後になっても全然椅子から立ち上がらないで、窓の外をずーっと眺めているのもさ。
別に物思いに耽っているわけではなくて、運動部の野郎共が仲良く肩組んで歩いているのを見ているからだって事も知っている。
何でそんなものを凝視しているのかって、そりゃあね。
「腐ってるからなんだよなぁ」
「あれ善逸、居たの?」
「ずーっとさっきから、目の前に座ってたよ」
俺が声を出すまでずっと窓から視線を外さなかった名前を見て、思わず重めの溜息が漏れた。
一応彼氏のはずなのに、彼氏を見つめるよりも熱視線なのは百歩譲って良しとしよう。
だけどね。
せめて俺がいつから近くにいたのかくらい分かっていて欲しいんだよね。
……俺って本当に彼氏だよね?
「ごめんね…なんかもう見ているだけで尊いから、つい」
「どこをどう見たらアレが尊いの?」
はぁ、と同じく息を吐く名前。
でも俺のは呆れた方で、名前のはエモすぎてつらい、という訳の分からない理由だ。
名前と同じものを見ているはずなのに、どうしても俺にはただの友達同士の馴れ合いにしか見えない。
そんな俺に「なんでそんなことも分からないの」と言いたげな顔で名前は口を開く。
「よく見て。あの肩を組む二人の後ろから一人男の子が見ているでしょう? きっと二人のどちらかの事が好きなの。でも、自分の気持ちは相手にとって迷惑だから口にはしないけれど、ああやって見る事だけは許してほしい的な」
「早口で何言ってんの?」
「何で分からないの?」
「…いや、まあ…俺には理解し難い世界だわ」
饒舌にぺらぺらと語ってくれたはいいけれど。
語りながら胸に手を当てて苦しむ動作もつけて言われると、なんか腹立つわ。
口元を引きつらせて向こうの世界の彼らを見る。
何度見ても彼らはただ友達同士のソレにしか見えないけれど、名前の目には正反対に見えるようだ。
腐っている、という表現は決して間違ってはいない。二重の意味で。
「そんなこと言って。善逸だってその界隈じゃきっと、引く手あまたな受け専になるかもしれないよ?」
「…受け専?」
「炭治郎くんや伊之助くんと一緒につるんでる姿なんか、善逸を取り合いしているみたいで私からすれば超エモ」
「やめて。頼むからそれ以上口に出さないで」
聞き返した俺が悪かったから。
真剣に話を聞いていたら頭痛がしてきた。
痛み出した頭を押さえながら、俺は片手で制止するように前に出した。
名前は話したりないというような顔でぷうっと頬を膨らませていたけれど。
…可愛いんだけどね。
四六時中こんなことを口に出す彼女の事を、それでも好きだと、可愛いと思う俺はどうかしているかもしれない。
いくら彼女の妄想の中で俺がボロボロに凌辱されていたとしても。
それでも俺は彼女の彼氏なわけで、受けになる俺じゃなくてカッコいい部分だって見て欲しいと常日頃思っている。
はあ、と本日何度目かの気持ちの籠った溜息を吐いて、名前の横顔を眺める。
少しくらいさぁ、こっち向けっての。
「好きだよ」
「ふぇっ?」
どうせ聞いてないだろう、なんて思いながらぽつりと呟いたんだけど。
窓から一向に視線を外そうとしなかった名前が、途端にぐりんと首を回しパチパチと瞬きをして俺を見る。
本当に驚いたらしく口なんて半開きだし、ほっぺはほんのり赤い。
思いがけない態度に、俺までポカンとしてしまった。
「えっ…何? どうしたの?」
俺の耳に聞こえる名前の心臓の音は、さっきよりもバクバクと音を立てて酷く緊張しているようだった。
なるべく冷静さを装いながらそう言ってはいるけれど、明らかに動揺している。
なーんだ、そんな反応してくれるわけ。
少し考えて俺はニヤリと心の中で笑った。
「名前のそういう所、俺好きだって思って」
「な、なっ…! いきなりどうしたの!?」
「ほら、そうやって恥ずかしがっているのも、可愛い」
「ちょっとこっち見ないで!」
さらに顔を赤くして顔を背ける名前が本当に可愛らしくて。
俺は調子に乗って愛を囁き続ける事にした。
偶にはこういう事しても罰は当たらないと思うんだよなぁ。
「いつまで可愛いって言うつもりなの…!?」
「名前が俺の事、好きって言うまで」
「……っ!!」
恥ずかしがっている名前を見るものいいなぁ、なんていたずら心に火が付いた俺を許してね?
だって悪いのは、俺以外の野郎の事を考えてる名前だから、さ。
独占したいんだ、全部。
ほら、頭の中にはもう俺しか居ないでしょ。
放課後になっても全然椅子から立ち上がらないで、窓の外をずーっと眺めているのもさ。
別に物思いに耽っているわけではなくて、運動部の野郎共が仲良く肩組んで歩いているのを見ているからだって事も知っている。
何でそんなものを凝視しているのかって、そりゃあね。
「腐ってるからなんだよなぁ」
「あれ善逸、居たの?」
「ずーっとさっきから、目の前に座ってたよ」
俺が声を出すまでずっと窓から視線を外さなかった名前を見て、思わず重めの溜息が漏れた。
一応彼氏のはずなのに、彼氏を見つめるよりも熱視線なのは百歩譲って良しとしよう。
だけどね。
せめて俺がいつから近くにいたのかくらい分かっていて欲しいんだよね。
……俺って本当に彼氏だよね?
「ごめんね…なんかもう見ているだけで尊いから、つい」
「どこをどう見たらアレが尊いの?」
はぁ、と同じく息を吐く名前。
でも俺のは呆れた方で、名前のはエモすぎてつらい、という訳の分からない理由だ。
名前と同じものを見ているはずなのに、どうしても俺にはただの友達同士の馴れ合いにしか見えない。
そんな俺に「なんでそんなことも分からないの」と言いたげな顔で名前は口を開く。
「よく見て。あの肩を組む二人の後ろから一人男の子が見ているでしょう? きっと二人のどちらかの事が好きなの。でも、自分の気持ちは相手にとって迷惑だから口にはしないけれど、ああやって見る事だけは許してほしい的な」
「早口で何言ってんの?」
「何で分からないの?」
「…いや、まあ…俺には理解し難い世界だわ」
饒舌にぺらぺらと語ってくれたはいいけれど。
語りながら胸に手を当てて苦しむ動作もつけて言われると、なんか腹立つわ。
口元を引きつらせて向こうの世界の彼らを見る。
何度見ても彼らはただ友達同士のソレにしか見えないけれど、名前の目には正反対に見えるようだ。
腐っている、という表現は決して間違ってはいない。二重の意味で。
「そんなこと言って。善逸だってその界隈じゃきっと、引く手あまたな受け専になるかもしれないよ?」
「…受け専?」
「炭治郎くんや伊之助くんと一緒につるんでる姿なんか、善逸を取り合いしているみたいで私からすれば超エモ」
「やめて。頼むからそれ以上口に出さないで」
聞き返した俺が悪かったから。
真剣に話を聞いていたら頭痛がしてきた。
痛み出した頭を押さえながら、俺は片手で制止するように前に出した。
名前は話したりないというような顔でぷうっと頬を膨らませていたけれど。
…可愛いんだけどね。
四六時中こんなことを口に出す彼女の事を、それでも好きだと、可愛いと思う俺はどうかしているかもしれない。
いくら彼女の妄想の中で俺がボロボロに凌辱されていたとしても。
それでも俺は彼女の彼氏なわけで、受けになる俺じゃなくてカッコいい部分だって見て欲しいと常日頃思っている。
はあ、と本日何度目かの気持ちの籠った溜息を吐いて、名前の横顔を眺める。
少しくらいさぁ、こっち向けっての。
「好きだよ」
「ふぇっ?」
どうせ聞いてないだろう、なんて思いながらぽつりと呟いたんだけど。
窓から一向に視線を外そうとしなかった名前が、途端にぐりんと首を回しパチパチと瞬きをして俺を見る。
本当に驚いたらしく口なんて半開きだし、ほっぺはほんのり赤い。
思いがけない態度に、俺までポカンとしてしまった。
「えっ…何? どうしたの?」
俺の耳に聞こえる名前の心臓の音は、さっきよりもバクバクと音を立てて酷く緊張しているようだった。
なるべく冷静さを装いながらそう言ってはいるけれど、明らかに動揺している。
なーんだ、そんな反応してくれるわけ。
少し考えて俺はニヤリと心の中で笑った。
「名前のそういう所、俺好きだって思って」
「な、なっ…! いきなりどうしたの!?」
「ほら、そうやって恥ずかしがっているのも、可愛い」
「ちょっとこっち見ないで!」
さらに顔を赤くして顔を背ける名前が本当に可愛らしくて。
俺は調子に乗って愛を囁き続ける事にした。
偶にはこういう事しても罰は当たらないと思うんだよなぁ。
「いつまで可愛いって言うつもりなの…!?」
「名前が俺の事、好きって言うまで」
「……っ!!」
恥ずかしがっている名前を見るものいいなぁ、なんていたずら心に火が付いた俺を許してね?
だって悪いのは、俺以外の野郎の事を考えてる名前だから、さ。
独占したいんだ、全部。
ほら、頭の中にはもう俺しか居ないでしょ。