辛い事でもあった? まぁ、この仕事してると辛い事だらけなのは分かるけどね。
そんな七海が少しでも幸せになってくれるよう、僕の幸せをお裾分けしてあげるよ。
え? 余計なお世話? まあまあ、そんなこと言わずにさ。
他人の好意を無碍に扱うなんて、そんなことをしてるから七海はモテないんだって。
モテなくていい? いやいやいや。
男がモテなくていい、とかそんな反抗期真っ盛りのガキみたいなこと言わないでさぁ。
それただのむっつりだから。モテなくていいとかそんなの心から思ってる男なんて存在しないから。
…話が逸れた。じゃあ僕の可愛い可愛い奥さんの話をしてあげるよ。
どこから話そうか、七海にはどこまで話したっけ? 奥さんと初めて会った時のこととか。
それか最近の奥さんの可愛い仕草ベスト10でもいいけど。
は? どうでもいい?
っはぁー…だからさぁ、そういうとこ。
僕だってね、自分の奥さんの可愛い所なんて自慢なんかしたくないよ?
そんなことして、変なハエが湧いて駆除する身にもなってよ。
え? これは自慢じゃないのかって?
違う違う。僕はただ七海に幸せのお裾分けをするために、こうして身を切る思いで奥さんの話をするわけ。
それに七海なら今更僕の奥さんを狙ったりしないでしょ?
……しない、よね?
まあ、冗談はさておき。
辛気臭い七海にぴったりの話をしてあげよう。そうだなぁ、今朝の話をすると。
まだ日が昇っていない内に先に目が覚めたんだけど、ふと気が付いたら僕の身体に必死に抱き着いていたわけ。
勿論、僕の奥さんが。んもう可愛すぎるでしょ。怖い夢を見たんだって。
僕が死んじゃう夢を見たらしくって、それはもう痕がつくくらい必死に僕の腕にしがみついてきててさー。
何この天使? 朝から僕にナニされたいのって。
え、ちょっちょっちょ、七海どこ行くの?
僕の話聞いてた? 聞いてたなら何でそんなに眉間に皺寄ってるの?
眉間の皺って一度深く入ると、消えないんだって。
……あ、また増えた。
いやまぁ、ね?
確かに同僚のアッチの話は聞きたくないよね。
そこは僕の配慮が足りなかったと思うよ、反省する。
でも、七海だって同じことされたらどう思う?
愛しの奥さんがさぁ、涙で潤んだ瞳を揺らして、しかもちょっと服もはだけてたりして。
…ねぇ、想像した? 僕の奥さんで想像した?
……。
いや、怒ってないよ?
僕はそこまで嫉妬深くはないからね。……何その全く信じてない顔。
まあ、それはともかく。
何が言いたいかって言うと、結婚はいいよって話。
だから七海もさっさと可愛い奥さん見つけて、僕に自慢の一つや二つ…
え? だから、僕のは自慢じゃないって。
幸せのお裾分けだって。惚気でもないよ、心外だね。
惚気は時間外労働に入りますか?
残業手当? いやいや何言ってるの。
むしろ僕の方がとっておきの話を話したんだから、手当欲しいくらいだよ。